感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネコ虎
6
机龍之介=市川雷蔵=善人と当初勝手に思いこんでいて、「大菩薩峠」第一巻から机龍之介が無意味な殺人を犯すシーンから始まったのを読み、主人公をどう受け入れたらいいのか戸惑って、ウン十年。やっと4巻まで読み進めたが、要は机龍之介は殺人鬼/サイコパスだと分かって、そういうものとして読んだら気が楽になり、ストーリーも馴染んできた。最近野口良平「『大菩薩峠』の世界像」を並行して読み始めたが、単なる大衆小説ではなく、殺人鬼机龍之介にも意味があるようで、少しは深く読めそうな気がする。といって、何巻まで読めることやら。2016/09/20
読書実践家
5
路銀もいるし、雪も降れば、酒も飲む、僧も登場するし、ならず者との遭遇も。道中楽ではない。2015/12/06
uburoi
0
この4巻目の最後は慢心和尚の章の途中までなのだが、ここでいよいよ能登守の失脚が語られる。哀れなお君の運命はまだ語られないのだが、この下りは身分違いの恋に執着した悲劇であって、まるで雷蔵主演の映画『手討』(63)にそっくりなのだ。お君は殺されて井戸に投げ込まれたとは噂だけだから、その後もこの長い物語にいつか登場するのだとは思う。『手討』は『番町皿屋敷』から脚色された『トリスタンとイゾルデ』にも匹敵する荘厳さをもった傑作だ。本編にもどるとお銀の章こそ圧巻。ここでオールキャスト勢揃いして複数のドラマを綾なす。2020/04/22