内容説明
私生児としての出自、夫・加藤道夫の縊死、向田邦子との交流など、女優・加藤治子がその半生を語る久世光彦とのたおやかな対話。
目次
第1章 孤りにはなれているわ
第2章 私を残していった人たち
第3章 恭々しき女優
第4章 向田邦子さんの遺してくれたもの
第5章 昔のこと今のこと
第6章 文学座で教わったこと
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Sumiyuki
5
変わった人だなぁ。貫太郎と阿修羅のごとくでの役柄のギャップにたじろいたが、さもありなん。@久世氏「(向田さんは)人一倍思いやりが深いとか、他人のことで胸を痛めるとか、そんな湿っぽくて安手のものじゃなく、野球で言えば、ランナーのいるときにヒットを打つみたいな、そんな人との関わり方をしていましたね」@俳優ってのは、とても自信がある人か、さもなければ私みたいに、まるで自分に自信が持てない人間か、どっちかなんじゃないでしょうか。2019/11/04
Hiroki
3
朝霞図書館 久世光彦と加藤治子の対談。いろんな出来事を話題にして夫々の本質を漏らしている。死んでしまってもういない人を肴に数人で座を囲む、全く暗くならずニコニコと笑い声に満ちている、そんな故人は素敵。健康というのはイチニイチニが重要なのではなく心身の動きが己にも周りにもシットリと馴染んでいる状態である。明るい場とボンヤリと暗い場と、その按配が良いのだ。黙って座っている、喋るのよりもずっと重い意味を持つことがある。白洲正子や中勘助のお薦め本も紹介されていた。2024/10/26