内容説明
バニング・ジェーンライト。アドルフ・ヒトラーのために、ポルノグラフィーを書く男。「ふたつの」世界を旅する男。彼の口から、果てしない迷路のような物語、呪われた愛をめぐる“もうひとつの二十世紀”の物語が、いま語りだされる…。数多の絶賛を浴びながら、現代アメリカ文学界に慧星のごとく登場したスティーヴ・エリクソンの傑作長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
60
物語に絡め取られ頭グルグル。ブンガクたァすげぇもんだなオイ！興奮するとついガラが悪くなるのはご容赦戴きたい。読了後呆然とする私を現実世界へ連れ戻してくれたのは、我が家の二匹の猫であった。2016/11/16
マリリン
44
独特な展開に戸惑いつつも、時に官能的であり美しい言葉でづづられた20世紀はどちらも幻なのか、とふと思いつつ読み進める程に、脳裏に描かれる鮮明な世界に惹き込まれてしまう。時空を彷徨う感があるストーリーの中に絡められたあの戦争そしてあの人物。現実と虚構の世界が歴史の中を舞う。「おれ」が書いた小説が思わぬ展開になりストーリーが進む。依頼し続けた人物は、Zとは...そうだったのか。死へ誘うかのような衣装を纏い舞うデーニア。脈打つ血の中に感じる因縁と隠された世界に感じる狂気。広大な旅の果てにあるのは生と死の交錯。2023/03/05
あたびー
7
表題通りいくつかの時と、パラレルワールドと、そして遠大な距離の旅が続く。ファンタジーであり、SFでもある。島で母親と暮らすマークは１９歳の時母親の足元に見知らぬ男の死体が転がっているのを目にして家を出る。それからずっと渡し船の上で暮らすマークから、いつの間にか話はバニングという男の一人称で進み始める。訳ありの彼はいつしかヒトラーのためにボルノグラフィーを書くことになる。更に物語は亡命ロシア人の娘に移り、また行きつ戻りつし、総統すら巻き込み、またマークの元へ帰ってくる。比類ない壮大な物語。2018/11/28
刳森伸一
4
物語の巧みさや熱気みたいなものは感じるし、中盤から入り込んでくる幻想も悪くないけれど、登場人物の行動に理解できなところがあり、やや興ざめしてしまった。2016/07/17
ボウフラ
3
ヒトラーがまだ生きている世界と現実の世界を行き来できる男を主人公に壮大な話になっているが自分にはいまいち筋がつかめなかった。あまり集中して読んでいなかったのが大きいけど。７６点2024/01/24
