内容説明
この世で最初の人間、アダムとイヴの書いた日記が発掘された…「アダムの日記」「イヴの日記」それぞれに描かれた、アダムから見たイヴ、イヴの目に映ったアダム。そのすれ違いぶり、ものの見方の違いが笑いを誘う。おかしくて、最後にはほろりとさせられる、マーク・トウェインの本領が発揮された作品。原書からのイラスト満載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほりん
30
【マーク・トウェイン誕生日読書会’21】旧約聖書の創世記に登場するアダムとイヴ。「アダムの日記」は、壁画風のイラストとともに、アダムから見た世界が描かれる。見えるものしか理解せず、イヴの行動を煩わしく思うアダムだが、徐々に変わっていく。「イヴの日記」では、繊細なイラストとともに、感性豊かなイヴの世界観が対照的に描かれていく。このちぐはぐさが可笑しい。一方で、感性の豊かさと、神が作った善きものを見いだそうという好奇心が、楽園追放につながったとすれば、なんとも哀しいという気がした。2021/12/03
Vakira
28
たまに古本屋覗くと思わぬ収穫がある。この本の作者 マーク・トウェイン。マーク・トウェインがこんな本を書いていたとは知らなかった。まだトム・ソーヤーもハックルベリー・フィンも読んでない。最近はハックルベリー・フィンの冒険談が気になっていたところ。この本200ページ物で半ページは常にイラスト。絵がなかなか良い。全裸のイヴが可愛い。このイヴのイラストに惹かれ購入。早速読む。単にアダム側、イヴ側の日記。ネタバレになるので表現できませんが最後のページの最後1行が素晴らしい。エデンとは・・・2018/07/18
のれん
11
聖書を皮肉った英米文学らしい一作。 翻訳も頑張っていて男女のまったく違う日記の雰囲気が出ている。 男は即物的かつ荒々しく、無知ながら素直。 女は感性に優れ、無用に興味を持ち、博識。 女の悩む姿を見ると、物語の根幹が哀しみにあるとするなら文学は女性的な一面があるのかもしれない。 リアリティある男女描写の一方で純粋な愛も魅力。男は喧しくても常に驚きをくれる彼女を、女は短慮で野蛮で嘘つきでも自分のものであってくれる彼を愛している。 魅惑的でシンプルな恋愛。これが神話になってしまうのが人間の面白い所かもしれない。2021/10/06
とうゆ
11
アダムとイヴの日記が日記を残していたならという面白い発想から、「人間とは何か」のような人間に対する深い考察がなされた小説なのかと思っていた。しかし実際に読んでみると、アダムとイブのラブロマンスを面白可笑しく書いたものであった。とりわけ興味を引かれるような小説ではなかったが、イヴの日記にあった愛の説明には共感させられた。「彼の何々を愛している」ではなく「彼を愛している」のである。私(俺)のどこが好きなの?などと面倒くさい話を持ちかける全ての男女よ、胸に刻んで欲しい。2014/02/19
ケイ
10
アダムの拙い日記が少しコミカルなところがありながらも、初めての人としての疑問、葛藤、愛の芽生え等が伝わってきて読み応えがあった。イブの流れるような美しい文章は、女性が美化され過ぎているようで少し違和感を覚えたが、せつないラスト、そしてあとがきを読んだ後で、マーク・トウェイン自身の妻への想いを見せられたような気がした。2012/05/08