内容説明
彼女の悲しみを、分かちあうことはできない。私の悲しみも理解されないだろう。でも、寄り添わずにはいられない―。無機質な新構想大学のキャンパスで出会ったエキセントリックなルームメイト。互いの孤独に気付くとき、何かが変わる予感がした。第106回芥川賞受賞の表題作ほか、「星の指定席」併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たぬ
29
☆3 芥川賞を読んでみようシリーズ。今一つ掴み切れなかった。理系学部に通う女子大生ってこんな感じなんだ、気が合わない子がルームメイトだったら寮生活ってきついなあ、この年頃って特に感受性豊かだからなあ。と特別な何かを感じ取るわけでもなくふーんって感じ。私が大学生活を送った経験がないからかもしれないけど。賞を取ったタイトル作よりも併録作のほうが好きかも。2022/06/26
JUN
16
う~ん、やっぱり芥川賞作品は難解。描写とかはうまいんだろうけど、何か物語に入り込めない何かがある感じ。2018/05/17
リトルリバー@中四国読メの会参加中
7
1992年の芥川賞受賞作。題名だけ見るに、面白くなさそうだな、と思いつつ読んでみた。ところが、すっかりはまって、あっという間に読み終えてしまった。その文章や内容に重みはあまりない。なにかを啓蒙されるというよりは、良い意味で、ぼんやりとした夢のような雰囲気の小説。関東の田舎に新築された大学のキャンパスとそこの女子寮が舞台で、この舞台設定と描写が良かった。ぼんやりと閉鎖された環境が、そのまま小説の雰囲気であり、テーマを展開する肝になっている。ジャンルこそ違うが、恩田陸の『ネバーランド』と近い雰囲気を味わえた。2012/10/22
Kazumasa Kawate
6
舞台は、解説にある通り筑波大だろう。ただ、自分の大学時代とだいぶ違うように思う。自分のときは、もっとこう血が通っていた(周りが見えなくなるくらいに笑)。下町にできた大学と、そうでない大学の違いかもしれないけれど。新設された大学と、そこで暮らす学生たち。なんともどこか、淋しげだ。テーマは、近代的孤独。エーリッヒ・フロムを思い出した。ただ、この小説はその先を描いているようにも感じる。記述に挑戦はないが、美しい。そして、90年代を的確に描いているように思う。2013/10/09
nokonokoi
6
高校生の頃に読んで、こういう学生生活っていいなと憧れたのを思い出した。きっとあの頃の私にも何かしらの寂しさみたいなのがあって、共感したんだろうなぁ、と20年くらいたった今思う。2012/08/15




