内容説明
1945年、敗戦間近のドイツ。16歳のアンテークと仲間たちには、秘密があった―。お腹いっぱい食べられる、廃墟の中の食料貯蔵庫。ところがある日、その秘密のかくれ家に、ユダヤ人の少年アビラムが迷い込んできた。ユダヤ人は届け出なくてはならない。でも届けたら、アビラムはどうなるんだろう…?ダヴィデの星(ユダヤ人の徴)を身におびた少年をめぐって、少年たちの世界と大人の世界がぶつかり合う中、ソビエト軍が町を包囲した…。戦争下の真実と、少年たちの葛藤と友情を鮮やかに描き出す感動的な物語。ブクステフーデ市雄牛賞受賞。中学生から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゃーこ
28
ユダヤ人迫害。巻き込まれる子供たち。2017/01/28
昼と夜
12
【20年ぶりに再読しよう】懐かしいなおい、と手にとったらなかなかハードな内容でした。うむ。当事の私の動きとして、アンネの日記→これという流れになったのが容易に想像できる。年を経て読むとあとがきの「盲目の従順」の一言がずしりときます。2013/07/02
陽@宇宙望遠鏡⭐︎星と宇宙とロケットが好き
6
高校の読書感想文にと薦められた本。ナチスドイツ戦禍の対立する少年たちの物語。正しいことだと認識している事実と目の前の現実、葛藤する少年たち。何を指針にするのか、良心に従うとは何か、刷り込まれたものを払拭するのは困難である。人種や国境など関係なく同じ血が流れているということを感じるのは、学ばなくてはわからないものだとは、思いたくない。むしろ、何かを定義することで受容出来なくなることもあるのではないだろうか。空とは人の心の有りようなのではないだろうか。星のない空ではなく空のない星というタイトルがとても切ない。
更夜
4
1943年のポーランド(当時はドイツ領)ロシア軍が攻めてくるという混乱の中の聖歌学校。この物語は聖歌学校の少年たちが分裂しあいながらもあるユダヤ人の少年をかくまう、というもの。しかし、主人公は少年たちだけではなく、ある時は大人たちの物語であり、よくある児童文学ではありません。少年たちは、「ユダヤ人」を見たことがない、というのがショック。世の中=大人たちが世の中を操作し、それに逃げまどわなければならない無名の人びとの無念が浮かび上がります。ヒトラー政権がどうなるかわからない不安がこの物語の芯。2014/03/27