内容説明
今まで現実だと信じていたものが突然得体の知れないものへと変じ、日常生活に亀裂が生じたとき人は恐怖のどん底へ突き落される。本書を読む者は、割れ鏡に映じた己れの姿を前にして目まいを憶えるように、不気味な幻想の世界へと誘われていくであろう。ハリウッドの老女優にまつわる奇妙な物語「影の商人」、日記に残されたサイコ・スリラー「焔の湖での自己洞察」、ボードレールへの猥雑なオマージュ「J」、グロテスクな御伽噺「お妃の死」他、短篇全10篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハルバル
7
1巻からだいぶ遅れて読了。前巻はミルハウザーが突出していたが今巻は粒揃い。ただ後半はポストモダン文学に接近していて普通の幻想文学を期待していた読者には読みにくいものとなっている。というのもニュー・ゴシックとは何かと言われれば要は「自己と現実の解体」にあるので、それを突き詰めれば「文学解体」に結び付くのも当然だからだろう。といってもほとんどの作品がすでに現実そのものが歪んでいるので、「現実解体」の怖さとしてはJ・C・オーツ「そろそろ一緒に暮らさんかい」とアンジェラ・カーター「影の商人」が好み。2018/07/03
mejiro
6
ジョイス・キャロル・オーツ「そろそろいっしょに暮らさんかい」、スコット・ブラッドフィールド「彼女のあやまち」、ロバート・クーヴァー「お妃の死」がおもしろかった。オーツはアンソロジーでよく見かけるが、いつも存在感がある。クーヴァーの短編は、白雪姫の継母=お妃がじつは深謀遠慮の人だった?という意外さ、王子の視点がユニークだった。2015/04/14
くさてる
2
ポストモダン・ゴシックのアンソロジイ。ジョイス・キャロル・オーツ目当てに読んだのだけど、他の作品も個性あって面白かった。とくに、老人を惹きつけるウェイトレスの物語「彼女のあやまち」が奇妙な味の短篇ぽくて、不思議な印象が残った。2013/06/05
ディプロドクス
0
ポール・ウェスト「バンコーと黒いバナナ」饒舌にちりばめられた恐怖の断片。何がなんだかわからないがおもしろかった。ピーター・ストラブ「天国」も好き。2016/07/10
MADAKI
0
前巻と比べて印象に残る作品が少なかった。「そろそろ一緒に暮らさんかい」くらいかな。2020/10/31
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