幻想展覧会―ニュー・ゴシック短篇集〈1〉

幻想展覧会―ニュー・ゴシック短篇集〈1〉

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  • サイズ B6判/ページ数 226p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784828840406
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

19世紀に華々しく開花したゴシック小説。その死と恐怖に満ちた暗黒の世界は、われわれ現代人の心の中にも巣くっている。本書は現代作家によるゴシック小説を甦らせようという試みであり、新たな世紀末を飾るに相応しい異色のアンソロジーである。呪われた画家の生涯を描いた幻想譚「展覧会のカタログ」(スティーヴン・ミルハウザー)、プラスチックに覆われた奇妙な街の世界「ニュートン」(ジャネット・ウィンターソン)、平和な日常生活へのグロテスクなファルス「オヴァンドー」(ジャマイカ・キンケイド)、ポオを思わせる不気味な死の物語「におい」(パトリック・マグラア)他、短篇全9篇を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かりさ

57
序文からニュー・ゴシックへの誘いに胸が高鳴ります。世界がまるで悪夢に呪われた暗黒の闇に包まれる幻夢の綴りは、そのどれもが絡み合う思惑から抜け出せない濃厚な物語ばかりで思考が追いつかない作品も。それ故に想像の旅は豊かに。収録作はさることながら、本書への招待状となる序文、風間賢二さんの〈ニュー・ゴシック 〉という言葉の母体となっている、ゴシック・ロマンスの系譜がとても良く、これだけでも本書を手にできた喜び。2019/02/20

ロア

14
1992年発行の本書は凸版印刷。ページ上の文字に触れると微かに凹凸があって、それがとても良い。非常に良い。紙の本ならではの温かみだなぁ(*´ω`*)30年前の本ですが、翻訳者に名を連ねるのは、柴田元幸、風間賢二、岸本佐知子、白石朗etc…と、今でもよくお名前を見かける方々ばかり。2022/04/24

hirayama46

7
日本では1992年刊行された、ゴシック小説アンソロジー。ホラー的な要素は強くなく、タイトルとおりの幻想譚が多くなっていて、意外と出だしのミルハウザーがいちばんモダンホラー的だったかもしれません。未読の作家が多かったですが、ジャネット・ウィンターソンの「ニュートン」はさらさらと読みやすい小説ですが、しっかりと厭な感覚を残す、好みな短編でした。2024/06/18

5〇5

5
19世紀に開花したゴシック小説は、幽暗な雰囲気と悲恋、超自然的要素を特徴とする ♦本作の原題は「THE NEW GOTHIC/ニュー・ゴシック」で、伝統的なジャンルの枠を離れた作品集である ♣狂気、不安、死といった題材を通じて、ゴシック的感性を表現している ♥「幻想」を冠する本書は、いわゆる怪奇や恐怖を前面に押し出すものではない ♠静かに忍び寄る、心理的で歪んだ違和感を味わうことになる。2025/05/18

Ecriture

5
ウォルポール『オトラント城』、メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』等の命脈を受け継いだニュー・ゴシック(ポストモダン・ゴシック)短篇集。長さもあってミルハウザー『展覧会のカタログ』の呪われた芸術家による魂の写し絵の話が印象的。二組の兄弟が家を隔てる湖面を鏡にして互いを映し合い、共に湖に沈んでいく。掛け違えた歯車、歪んだ鏡像の物語。パトリック・マグラアは、幻視ではなく幻嗅の物語で、未来の臭いの先取りというのはニュー・ゴシックの面目躍如。2012/06/28

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