青い犬の目

青い犬の目

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  • サイズ B6判/ページ数 159p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784828840093
  • NDC分類 963
  • Cコード C0097

内容説明

夢の世界に繰り返し現われる女性との奇妙な交流を描いた表題作「青い犬の目」、死に対する恐怖のイメージに満ちた、カフカ的悪夢の世界「三度目の諦め」、自らの美貌に苦しめられる女性の悲しい変身譚「エハは猫の中に」、レストランのカウンターで店主と娼婦の対話から成る、ヘミングウェイを思わせる小品「六時の女」、死者の側から眺めた日常の光景「誰かが薔薇を荒す」、『百年の孤独』の世界へと通じるマコンド物の1篇「マコンドに降る雨を見たイサベルの独白」他、全11篇を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

358
11の短篇を収録。ジャーナリストのマルケスからは対極にある幻想世界。それを開くキー・コードは「青い犬の目」。そこでは肉体と魂、生の世界と死の世界とが連続した時間の中にある。冷たい死が支配する物語空間は、ポーを思わせもするし、また象徴派の詩とも親和性が高い。冒頭に置かれた「三度目の諦め」が、異界への扉を開く通路だ。時間は「エバは猫の中に」において、まさにアインシュタインの猫のように異空間にまで拡がっていく。掌編なのに、実に壮大なまでの時空を持つ物語だ。そして、末尾はマコンドの世界への招待状で幕を閉じる。2014/08/06

ケイ

77
マルケス初期の短編を集めたもの。どの話にも死がまとわりつく。ただの死ではなく、死を生きる者、死して成長する少年、死んだと気づいてから何千年も経っていた美しい少女、死人とそっくりな顔をしていることに気づき恐怖にとらわれる者…。死は終わりではなく、そこにじっと潜んでいるようだ。この11篇の中で少し異色な作品「六時に来た女」。その女性の不可解な物の言い方や彼女の話し方になぜか村上春樹の作品に出てくる女性達を思い出した。2014/08/21

巨峰

76
ガルシア・マルケスの作品の短編集は今まで何冊が読んだけど、一番乗れなかったなぁ。死をテーマにした短編が殆どで雰囲気があまりにも変わらないからか、それとも自分の心情が今はこの小説に合わない時期だったのか。2019/02/02

キジネコ

46
果てしない世代と血脈の旅の途路にいる僕らは「生」の世界にしがみつき、未知なる「死」の影に日々恐れを抱き、冷たい汗を流す。正気と狂気の狭間で途方に暮れ、常識を否定する禁忌を声高に叫ぶが、果たしてソレ自体が明日を示す道標足り得るのか?現と夢の境界を溶かして越えてくる死者との逢瀬、鏡像に映る己の姿が示す誤差は狂気の前触れかも知れない。11の印象的な作品集、私達の「今」は荘子の云う一場の夢なのか?映画マトリクスでネロの経験するデジャブ、世界を仮装するシステムのラグに触れた戸惑い。僕らは どっち側にいるんだろう・・2014/07/17

YO)))

34
いずれも濃厚な死の気配を纏った─というよりも、光線の具合によって生と死が容易に主客転倒し、不分明な彼此の境界をどこまでも彷徨うような─十一の短篇。後の作品に見られる祝祭的な明るさはあまり感じられないように思うが、といって、陰鬱、とはまた違う、不思議な静謐と厳粛さを湛えた作品たちだ。諦めることでしか死を死ぬことができなくなってしまった男のモノローグ「三度目の諦め」、 病苦に悶え死んだ双子の兄とのシンクロニシティに怯える男「死のむこう側」、夢の中でしか出会うことの出来ない女との謎めいた逢瀬「青い犬の目」2014/07/05

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