福武文庫<br> 第三次世界大戦秘史

福武文庫
第三次世界大戦秘史

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  • サイズ 文庫判/ページ数 311p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784828832999
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

1995年1月27日午後6時47分、第三次世界大戦勃発…そして終結へ。その間わずか4分、核戦争をスラップスティック風に描いた「第三次世界大戦秘史」。エイズが蔓延した21世紀における性の様を描く「エイズ時代の愛」。中東紛争を戯画化した「ウォー・フィーバー」など、近未来を舞台にイマジネーションを刺激する14篇を収録したバラードの最新短篇集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

澤水月

22
EU発足前の1989年、統合欧州でレジャー民が誰も帰らず働かずビーチピープルとなって体制に牙を剥く短編書いてる…75~90年、表題作ほか戦争熱など実世界への危惧や痛烈風刺・飛行への憧憬、宇宙・時間への恐怖、発禁で出てない自伝の索引だけで人物像浮かばせるような実験ものが収められている。エイズへの認識など今と異なる部分ももちろんあるがどれも面白い。スラップスティックものに筒井風味感じていたらツツイ御大が解説、「世界を気遣」う作家として同士感述べているのも2017読むと興趣。17年短編全集4,5に入るの待ちかね2017/06/07

lico

3
時間と空間がどこまでも引き伸ばされる。なんだろうこの感じ、バーセルミっぽいというか良くも悪くもポストモダン的。『索引』なんかは当時の空気を知らないとわけがわからないのではないだろうか(というかわけがわからなかったわけですが)、おそらく単語とページ数を繋ぎ会わせることで20世紀を浮き彫りにしようしているのだと思う。『ウォー・フィーバー』は伊藤計画のような雰囲気の作品。『攻撃目標』、『月の上を歩いた男』、『巨大な部屋』が良かった。実験小説のようなものが多かったけれど、そういったものはあまり好みではなかった。2016/07/07

渡邊利道

2
戦争をスタイリッシュに皮肉ってるような戦争熱と表題を筆頭にしてるが、広大な宇宙ステーションや幻想的宇宙飛行や夫婦の危機や報告文体や人名が並ぶだけの実験的短編といったほとんどおなじみのモチーフが反復される短編集。70年代までと違うのはひたすら美しい風景描写がなくなっていること(夢の船荷はちょっと美しいがグロテスクさがきわだってる)。冷戦が終わってもほとんど態度変更を必要としていなかったのだなーと改めて。2017/06/12

刳森伸一

2
バラードの短篇小説集。14篇収録。終わらない戦争とその裏側を描く『ウォー・フィーバー』や化学物質で生物が思わぬ進化を遂げる『夢の船荷』など比較的オーソドックスなものから、ある人物を発禁になった自叙伝の索引から紐解く実験的な『索引』など幅広い作品を収録している。個人的には、かなり皮肉の効いた『第三次世界大戦秘史』と『世界最大のテーマ・パーク』の両作がよかった。2014/12/23

2
表題作を含むシミュレーショニズム色の強い作品から、宇宙や空へのオブセッションに包まれた時間の結晶的な美しさへ沈んでいったり野蛮なグロさに回帰したりする各種終末の風景といった体の定番のもの、アンケートや索引や注釈から出来事を描く実験的な形式まで、これまで用いてきたさまざまな小説の形を器用に展開している感じの短篇集。個人的には『クラッシュ』や『残虐行為展覧会』のような倒錯的な知性と空間演出で現代と外宇宙の終わり系黙示録を描くというバラードの多彩な過去のスタイルを濃縮しまくった感のある「攻撃目標」がよかった。2013/07/09

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