内容説明
本書は、〈悪〉の化身マルドロールをめぐる6つの歌から成り、万華鏡のような変幻自在なメタファーで謳いあげる〈悪の教典〉である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奇月針
7
悪の化身が軽やかに人が死んでいく絶望世界にご招待。化身マルドロール自体が読者に話しかけてくれる。たまに自分の発言にツッコミを入れたりと割とチャーミング。皮剥ぎや血みどろグロ系の描写が多いので、苦手な人は苦手だろうとは思う。けど本作は暗いし切ないね…2019/11/28
蓼 tade.
2
ヴァンピリズム、サディズム、ゴシック的布置によるシンフォニーである前半部から、かの高名な、ミシンと蝙蝠傘の手術台に於ける偶然の邂逅、を徽章とする後半部にかけ、むしろさらにデモニッシュに、回転数を上げながらグラデーションしていく。シュルレアリスムのルーツを求められるのは尤も。カフカを先見しているとも思えました。ダダ、ノンセンス、エロス、デカダンス、が高次元で結合している奇書中の奇書と言えるでしょう。こよなく鋭利でした。早く読めば良かった。マルドロールのトリックスターぶりに映画ジョーカーを思い出しもしました。2023/03/01
門前照二
0
あえて福武文庫版で読んだ。「悪の教典」か。自ら悪を名のる人は案外優しかったりするよね。ちくまならポエジーも読める。2010/05/17