内容説明
男と女の微妙な感情のすれちがいを淡い筆づかいで切なく描き上げた表題作「クリスマス・ソング」、親子ほども齢のちがう美貌でわがままな妻にふりまわされる六十男の悲哀(「軽騎兵少佐」)、娘の婚約者に会う父親の右往左往するさまをユーモラスに描いた逸品「咲け、美しきばら」など10篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaoriction@本読み&感想 復活の途上
15
かなり長い間 積んでいたのだけれど、たまにはクリスマスにクリスマスの本でも読んでみようかなぁと初めて開いてみた。表題作のみだけれども。かなり好みの作風、作品。古い作品だけれど、全く古びない。色褪せないてもいない。現代にも通ずる男女の数時間、数十分。些細な気持ちの揺れというか。機微。男性作家とは思えない。下手したらクセになりそうな気もする。短編集なので、またスキマ時間にちょこちょこと読んでいこうと思う。2018/12/25
sabosashi
6
H・E・.ベイツ(1905−1974)は多作な作家であったが、事実上、邦訳としてはこの短編集のみ。 傑作もいくつか著しているようだが、いくらか忘れられた作家になろうとしているように思える。 イギリスの地方都市のちいさな歓び、悲しみを描く。 強烈なものはなく、器用に独自の世界を描ききっていく。 イギリスの地方ということでいえば、たとえばジェーン・オースティンを思い起こさせる。 しかしこの時代ではすでに貧富の差が歴然としていて、労働者階級もそのヴィジョンに加わってくる。 2015/09/17
Kamieshu Noriko
0
20歳のころに読んだときは、クララはフレディを愛していないのだと解釈しました。 でも今、50歳を直前に読み返すと、そうではなく、むしろ深く愛しているのではないかと。 決して理解し合えない男。感性も理性も、かけ離れた男を愛しながら、感性のよく似た、初対面の男のことを思うクララ。 でもその気持ちもまた、決してどこにもいけないのです。2017/10/13
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