内容説明
どんな願いもかなえてくれるという魔法の木。誕生日の朝、どこからともなく現われた不思議な少年に誘われ、その木を捜して森をさまよう少女の姿を、美しく、幻想的に描いた文豪フォークナー唯一の童話。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
66
フォークナーという作家の初読み。少女ダルシーが誕生日にみた夢の冒険。3人と連れ立って行くところ、ラストシーンから感じる雰囲気など、「オズの魔法使い」とか「青い鳥」にストーリーが似ている気がする。聖人が登場して教えを述べるなど、教訓的、宗教的な雰囲気も強い。願いをかなえてくれる木を探しにいくという目的なのだが、行程の途中で、こうあってほしいと思ったことが出現してしまうので、どうしてダルシーがその意味に気がつかないのか、読んでいて不思議なくらいだが、それがラストシーンの意味につながっていくのだろう。2021/03/23
こばまり
59
あのフォークナーが唯一遺した童話の由。子供の冒険に大人が3人も付いて来るのだが、一人も頼りにならないのが面白い。吉祥寺の古書店で250円で購入するもAmazonでは驚きの高値。不気味な挿絵をぜひ見て戴きたいのに。2017/01/16
花林糖
20
ダルシーの誕生日に謎の少年が現れ、弟ディッキーと召使いのアリス、近所に住んでいるジョージの5人で魔法の木を探しに行く事に。面白いけれど説教的とアリスの煩さが残念。童話なのに挿絵が妙に怖く、挿絵の重要さを再確認しました。2020/10/06
kero385
14
もともとフォークナー全集27巻の最後に収録されていて読んだのだが、折角なので絵本版も読んだ次第。フォークナーが30歳のとき、幼馴染だった女性の長女の誕生日に贈った、彼唯一の童話。「響きと怒り」や「あの夕陽」など読んだ方ならすぐわかると思うけど、10歳前後の子供たちの会話描くの上手いなぁって思う。詩人木島始氏の訳も良いのもあるだろう。ただ、これは作家や翻訳者の責任ではないが、絵、ちょっと怖い。2025/03/05
lico
7
【メイ・ザ・フォース・ビー・ウィズ・ユー(SF&ファンタジー読書会)】ドロシーとダルシー・・・似てる。オズの魔法使いと不思議の国のアリスを足して二で割った感じ。大人たちが目立ちすぎて子供たちの存在感が薄いのは童話としてどうなんだろうと思わなくもない。しかしながらこの大人たちが大変魅力的なことも確かで、すっとぼけた会話は読んでいて楽しかった。最後の垂直に流れる川は幻想的でセンチメンタルな気分になった。子供向けにしては挿絵がかなり不気味な気がする。2016/06/05




