福武文庫<br> モーパッサン怪奇傑作集

福武文庫
モーパッサン怪奇傑作集

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 218p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784828831022
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

内容説明

外国で殺した男の形見として持ち帰った1本の手に復讐される話(「手」)、雪深い山小屋に一冬閉じこめられ、遂に発狂してしまう男(「山の宿」)、眠っている間に無意識のうちにテーブルの上の水を飲んだりする一種の「人格遊離〈ドッペルゲンガー〉」をテーマにした「オルラ」など、11篇の怪奇短篇を厳選して新訳。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sin

71
計算された恐怖小説である。作者が語るものは怪異ではなく人間の恐怖そのもの…そして言い換えるならば人の心が形造る恐怖感を想定しての小説に依る分析ではないだろうか?奇怪な手-落ちのつく話、河上の幻想-引き留める土左衛門、山籠り-犬でしょ、砂漠の太鼓-熱中症、死者の復讐-犬でしょ、伝染病-恐怖の実相、不可視の存在-強迫観念、髪の毛フェチ-世間の反感、白衣の女-完璧な舞台装置、家具の百鬼夜行-まるでイリュージョン、墓泥棒愛を語る-陪審員たちの共感、父親の痙攣-生きた埋葬、恐怖もまた人間の創造物に過ぎない。2020/08/20

こばまり

55
【再読】「オルラ」を読み返したくて手に取ったが「山の宿」の怖いこと!雪山はどうも苦手だ。収められた作品はいずれも神経症的で、リアルに徹した作家が病んだ末に見ていた世界かと思うと尚怖い。2017/03/08

かりさ

44
狂気が視る幻視か…心理描写の緻密さと臨場感でより迫る恐怖。本当の恐怖を得る極上の怪奇短篇集。《恐怖というものは何か恐るべきもの、残酷な感覚なんです。(中略)恐怖はある種の異常な場面、つまり漠然とした危機に直面して、ある種の神秘的な効力の影響を受けた場面に起こるのです》(『モーパッサン怪奇傑作集』「恐怖 その一」より)恐怖について書き留めたい言葉が散りばめられています。2020/09/17

こばまり

35
何か軽い読み物をと思い手に取りましたらこれが滅法怖かった!想像の産物としてのホラーではなく、もっと根源的な恐怖。モーパッサンその人が精神病院で生涯を終えたことを思うと、ただならぬ逼迫感を湛えた文章も頷けます。遭難者のエピソードを多数集めたノンフィクション、ジョン・ガイガー著「サードマン」を彷彿とさせました。余談ですがとてもシックな表紙なのに読メでは画像登録されておらず残念。2014/09/03

ニミッツクラス

33
89年(平成元年)の税抜437円の福武文庫初版。解説によると著者の280弱の短編のうち怪奇幻想作品は30数編で、その中の11編を収録した由。カバーは裏表紙へと続くが地味過ぎて読者の購買欲をそそらない。本書、モーパッサンが病んでいる事を知る読者には妥当な一冊で、各話の懸濁は死との親和と反発からくる魂の擾乱から生じている。「オルラ」はひときわ突出しており、救いの無い思考の陰鬱な堂々巡りの作品となる。湯治に来た父娘を描いた「痙攣」は仮死体質の娘さんの奇譚で、本書中で唯一マトモに思えるからそれが怖い。★★★★☆☆2022/08/26

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/507837
  • ご注意事項

最近チェックした商品