内容説明
「スカートに導かれて魂へ到達した」「臀に魂はない」―。70の坂を越えてなお貧欲に男漁りを続ける老女優テレーズをめぐる、狂気・反逆・無償の犯罪・自由と宿命の相剋。卓抜な警句が奔流のように迸り、濃密な香りを漂わす禁断のエロスの華が妖しく咲き乱れる世紀の奇書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三柴ゆよし
21
傘寿を目前にしてなお精力絶倫、夜には男漁りをエンジョイし、昼には奇想天外な衣装と天才的な演技で観客をとりこにするミューズの化身、文学史上、稀に見る妖怪ばばあ、大女優テレーズ・エスピノサの愛と狂気と反逆の物語。乱れ撃ちのように繰り出される会話と、頭おかしすぎる緻密な人物描写、ドタバタな物語展開の渦のなかに引きずりこまれ、正直、後半は疲労困憊、物語の筋を追うだけで精一杯だったのだけど、一読、忘れがたい怪作であることだけはよくわかった。『耳ラッパ』しかり『はまむぎ』しかり、ばばあが元気な小説にはずれはないのだ。2012/08/07
takeakisky
3
これは、すごい。おそろしく猥雑で嵐のような生命の横溢。ことばの奔流。七十九の舞台女優?男に殴られるのと窓ガラスを割るのを何より好む。無茶苦茶なのに美しい。ぶっ飛ばされた。古今無双にかっこいい。うっとりするほどかっこいい。眩しすぎて、終わりは不覚にも涙が込み上げる。2024/04/10
ますりん
3
タイトルは関係あるのかないのかわからないけど寺山修司の戯曲「レミング」の副題と同じ。翻訳は生田耕作!いきなり80代の老女優テレーズの暴力的なセックスから幕を開けてカマされる。割と著名な実在の人物がちらほら出てきて、エコール・ド・パリの時代や作品に詳しい人ならもっと楽しめるのかも。セックスにドラッグ、胴なし女、殺人事件に脱走兵に傷病兵と次から次への乱打戦。ラストのほうに出てくるボードレールが女議長に捧げた詩、「あまりに快活な女に」って本当にある詩なのか今度確認する必要あり。2020/11/24
K.Nagano
0
饒舌さがときに鼻につくが、あふれる言葉に浸りたいときはいいかもしれない。いずれにせよ日本文学にはない言葉の洪水。なにが言いたいかなんて考えてはいけない。起こったことがすべての生の祭典。2014/03/09