内容説明
ニューヨークの下町ブルックリンで幼少年時代を過ごし、その後国内各地、アラスカ、さらにはパリを放浪したミラーが、郷愁をこめて綴る幼き日の思い出。機械文明に毒され、第2次世界大戦の翳が忍び寄るアメリカに対する痛烈な批評精神に溢れた名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
傘緑
41
『北回帰線』を煮詰めたような、神の如き酔っ払い・ミラーの初期短編集。「わたしの生涯全体が、同じ一日の朝となって拡がってゆく、わたしは毎日、最初の一行から書き始める。毎日新しい、そしてそれだけで独立している世界が創造され、わたしは星座の群れの中にいて、自分のことで夢中になっているので歌ったり、新しい世界を創造したりするほか何もできない気がふれた神になっている…いままでの宇宙は瓦解しつつある」鯨の腹の中へと山のような酒瓶と本を丸呑みしつつ、故郷のブルックリンからクリシーまでをホーボーする現代のポール・バニヤン2017/02/24
ミツ
12
“街のまんなかで行われないことはすべて贋ものであり、要するに、文学にすぎない。”ニューヨーク、パリ、シュヴェニンゲン、放浪者ミラーの過去への郷愁と愛情に満ちた回顧と、サイケでパンクな散文詩がシームレスに繋がっている。突然として猛烈にまくしたてられる超現実的で幻覚じみた言葉の連なりは浴び続けるとさすがに辛いものがあるが、それでもいちいちカッコよく痺れるものばかりである。そしてかつて自らが暮らした街とその人々との下品で滑稽な小話のところどころに覗かせる世界や時間、生への思索にドキッとさせられる。佳作。2014/04/20
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6
猥雑なニューヨークで神話を幻視する路上のシュールレアリスト! 散文で酔いどれるパリの語り部!2018/09/10
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