内容説明
葛西善蔵の私小説の名作は、今日なお根強い愛読者を持っている。本書は、作者が残した体臭濃厚な随筆・談話の中から30編を精選した、半世紀ぶりの文庫版随想集であり、不羈奔放な稀代の詩人作家の素顔はもとより、彼の創作の内奥をうかがわせるに十分である。とりわけ晩年の「酔狸州」シリーズは圧巻。
目次
眠いような
創作談
3月の日記
鰻の皮―小供を戒む
東北の原野を夜汽車で過ぎる時など
一種の寂寞とした感じ―震災記
僕のポンチ
故郷に帰り行く心
この頃
酔狸州七席七題
初めて見た演伎座
創作楽屋ばなし
歳暮酒話
菊池君に
愚痴とクダと嫌味
近所の床屋の話
ボケ日記
芸術問答
梅雨ばれの日
小感 1~11
不愉快な程度―現文壇に対する私の不満
酔中言
酔狸州閑話
少年の日
三宿にて
漫談
冗語
お詫び
『恋愛行』の作者に
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
michel
8
「愚痴とクダと嫌味」ー僕の小説が全部、二十三年以来十五年の間の小説はみんな、酒呑みのクダだと言われても、それもいいじゃないか。それに違いないんだ。酒飲めば、クダが本音、飲まねば愚痴が本音、その間にちょいちょいと嫌味絡みを見せたのが俺の自伝小説さ。 「漫談」ー「貧乏」僕は貧乏の生まれで、貧乏に慣れているから、貧乏を苦しいとは思わないが、四十を過ぎているのにこの貧乏では全く世の中が厭になる。といって僕は厭世家でも厭人家でもないのだが。編者阿部昭による名品珍品を含む酒間の放談のたぐい、との事。2022/12/19
久守洋
0
酒飲み葛西の「愚痴とクダと嫌味」。たまに良いことおっしゃいます。2010/06/03
uh
0
全然時代を感じない口調に驚いた。福武文庫って今のベネッセなのか。2025/02/15
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