内容説明
四国の名家に生まれ、東京の女学校に学んだ百合子。だが、大正14年雑誌「文芸日本」を興こした進藤延との結婚は破局に終わり、やむを得ず3人の子供を両親に預け、一人東京で暮らしていく。転々と職を変え、やがて蒲田の大部屋女優となるが、ついに我が子と気持ちを通じ合えぬまま、一人孤独のうちに生涯を閉じる。死後、長男の著者の手に渡った遺品の日記からは、我が子を手放さざるを得なかった母親の切実な叫びが聞こえてくる。―あたしは愛したい―この言葉を残して逝った母親の姿を綴った一代記である。
四国の名家に生まれ、東京の女学校に学んだ百合子。だが、大正14年雑誌「文芸日本」を興こした進藤延との結婚は破局に終わり、やむを得ず3人の子供を両親に預け、一人東京で暮らしていく。転々と職を変え、やがて蒲田の大部屋女優となるが、ついに我が子と気持ちを通じ合えぬまま、一人孤独のうちに生涯を閉じる。死後、長男の著者の手に渡った遺品の日記からは、我が子を手放さざるを得なかった母親の切実な叫びが聞こえてくる。―あたしは愛したい―この言葉を残して逝った母親の姿を綴った一代記である。