内容説明
リチャードとカレンの兄妹によるカーペンターズは、1970年代前半『スーパースター』『トップ・オブ・ザ・ワールド』『イエスタデイ・ワンス・モア』などのヒットで、世界的に大人気となった。しかし1983年2月4日、カレンは拒食症(神経性食欲不振症)で突然死亡。このニュースは痩せ衰えたカレンの写真とともに、全世界に大きなショックを与えた。兄リチャードの証言を核に、カーペンターズの栄光の軌跡とその舞台裏、そしてカレンの発病から死にいたるまでの真実が、初めて克明に語られる。
目次
第1部 涙と恐れ
第2部 栄光のアメリカン・ドリーム
第3部 孤独な心
第4部 坂道
第5部 両海岸ブルース
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
117
兄を偏愛する過干渉な母を持ち、兄妹ユニットを組んだ為に自己抑制に歯止めが効かなくなったカーペンターズ。成功後も一向に解放されない呪縛の深淵は外部からは推し量り難く、相矛盾する関係者証言は貴重。お互い相手を母親似と主張し、恋人から結合性双生児と揶揄される様に関係の特殊性が伺える。妄執や持病は無意識からの叫びだ。使命感、共依存、閉鎖的環境、自己愛と病識の欠落…カレンの救い難い死は成長と誤謬を拒絶する純粋一辺倒と生の相剋、ひいては現代の空虚を象徴する。不条理の波及を鑑みれば毒親責任論だけで片付ける俗説は安直だ。2023/09/03
norira
2
カーペンターズは元々聴くくらいの程度でファンというわけではないがカレンを蝕んだ病「摂食障害」について知りたいため読んだ。カレンの壮絶な病との闘いと栄光の裏にあった悲劇を思うとファンはきっとショックを受けるだろう。所々、翻訳に無理があって読みにくいところもあり。何より分厚かった。でも彼女を兄のリチャードを知るにはまだまだ足りないくらいだった。2010/05/18
きろく
1
カレンの選択と成果を否定することで自分の支配下から逃さないリチャードのやり口が恐ろしい。さらにそれをバックアップするリチャード命の母と我関せずの父。カレンがソロで作った音楽にネチネチと難癖。カレンの選んだ心理療法士には最初から喧嘩腰。良くなるわけがない。キム・ゴードンの自伝きっかけで読んだ。2025/01/18
Kb54081271Kb
1
拒食症で亡くなったカーペンターズのボーカリスト、カレン・カーペンターの成功と闘病のドキュメント。 成功を駆け上がる時の高揚感、強がりがちなカレンの立ち振る舞い、後半の苦しい時代…。それらを全て包むような優しい歌声を聴きながら読むと、泣きたくなってしまう。 2024/06/27
bonakuragxo
1
カレンの最期の日々は想像より粗々しく、何故?との思いが消えない。本人もそうかもしれない(分かっていたら治せていたはず)。本書で深淵を覗き見たところで謎は解けず、人の身体的特徴を揶揄するな、過労するな、医薬品を乱用するな、病んだら客観的に回復するまで休めといった教訓を引き出すのが精一杯だろう。過労の悪影響は大きかったように思う。家族関係等の特殊性に迫るには相当な調査・考察が必要だろうし、それをしたとしても明快な答えが得られることはないだろう。その心に秘めた計り知れなさにカレンの魅力の源泉があるようにも思う。2023/09/04