内容説明
日本人の幸福を願ってやまなかった、この人を見よ!祖国を愛した碩学の“全人像”に迫る、初の評伝!
目次
第1章 アドレッサンス
第2章 幸運の人
第3章 渡部家の人びと
第4章 メンター点描
第5章 慧眼に富んだ“渡部日本史”
第6章 独創を支えたセレンディピティ
第7章 論争の歴史
第8章 国益の立場から
第9章 実りある日々
著者等紹介
松崎之貞[マツザキユキサダ]
1947年、埼玉県生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。70年、徳間書店に入社。一貫して編集部門を歩き、2002年、ノンフィクション部門の編集局長を最後に退社。退社後はフリーの編集者として、主に書籍の編集に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
軍縮地球市民shinshin
13
知の巨人・渡部昇一氏の評伝。敬虔なカトリックにして、保守派の思想家というのもすごいが、氏の博覧強記ぶりが窺えるエピソードが満載で読んでいて非常に楽しい。若き日の英語の勉強法がものすごい。午前四時四十五分起床、朝食まで英文法・英作文をみっちりやるというのも凄い。ドイツ語も並行して勉強し、旧制中学時代に漢文も佐藤順太先生に教わっていたから、これだけの語学をマスターすれば読める本の量も格段に広がる。会話よりも文法を学び、正確に読解でき、正確な文章をかけることというのは、非常に重要なのだなと思った。2018/01/20
すうさん
4
高校生の頃に「知的生活の方法」を読んで以来のファン。その後上智大学の英文科においても直接講義も聴けた。「劣性遺伝」が話題になった頃、左翼が大学に乗り込んできて渡部昇一を糾弾し、学部生としての私も取っ組み合いになったことなど、自分の大学時代を思い出した。それはともかく本書で彼の知的人生を包括的に知ることができた。私も知っているP・ミルワード神父の弔辞が印象的だ。「いい人はみな田舎者。イエスもそうだった。もちろん渡部氏もだ」。田舎人ならではの真面目さと頑固さこそが、まさに「知的人生」を全うさせたのだと思う。2018/04/20
ひらり庵
2
評伝とあるが、伝記というより渡部氏の主な著書を発行順に並べ、そのエッセンスを紹介していくもの。渡部ファンなら、読んだ当時を次々と思い出し、懐かしい気持ちになるだろう。私にも書けそうだが、私なら悪ノリして霊界からのあの本も紹介してしまう気がする。むろん担当編集者ならではの観察もあちこちにあった。勉強会の後はカラオケスナックに流れるとか、何を歌うとか、料亭での芸者さんとのやり取りや女優の小雪さんの評価など。しかし、本書の最大の貢献は、「マジョリー・モーニングスター」のあらすじを訳して紹介したことだと思う。2018/01/07
cocolate
2
この人を知るのが遅すぎた。さいしょに書店でいろいろ著書をみたとき歴史研究者だと思っていたけど、なぜか英語研究者だったり。天皇の生前退位に関しては、内田本とはまた違う観点。う~ん、巨人だ。2017/12/23
古本虫がさまよう
2
渡部氏の生い立ちから亡くなるまでのさまざまな知的な軌跡や業績に関して深く広く書かれた評伝。朝日との言論闘争に関する分析も鋭くなされている。著者は徳間書店の雑誌(&書籍)編集者として渡部氏と接触。雑誌連載などを通じて身近に接することになったという。退職後もフリーの編集者として、口述本などを担当。本書には詳細な年譜もあるが、亡くなったのは2017年4月17日。もう半年が経過したのか…。その間、総選挙もあった。自民党大勝、安倍政権の存続を渡部さんは大いに評価していることだろう。2017/10/27