内容説明
情報でもっとも重要なことは、データを収集することではなく、その先にある「意図」を見抜く想像力があるかどうかである。ネットワーク時代へ警鐘を鳴らす戦争における失敗の教訓。
目次
第1章 情報とは何か
第2章 情報の解釈を誤った人たち―一九四四年、Dデー
第3章 「スターリン同志が一番よくご存じである」―一九四一年、バルバロッサ
第4章 最も優れた情報もパーフェクトではない―一九四一年、5章 イギリス軍に降りかかった史上最大の悲劇―一九四二年、シンガポール
第6章 最大の失態はなんだったのか―アメリカ同時多発テロとテロのグローバル化
第7章 CIAはアルカイダについてすべてを把握していた
終章 情況が好転することはあるのだろうか―重要度増す情報の役割
著者等紹介
ヒューズ=ウイルソン,ジョン[ヒューズウイルソン,ジョン][Hughes‐Wilson,John]
31年間に渡って軍に従事し、そのうち20年間はイギリス情報機関に所属した。司令官の参謀としてフォークアイランド、キプロス、アラビア、北アイルランドなど各国を巡り、任務中には22の異なる国々との交流経験を持つ。その後、戦史と情報を専門とするキャスターや執筆業に転向、NATOの政治的スタッフから退いた。現在、ケンブリッジ大学チャーチル・カレッジの特別研究員
柿本学佳[カキモトノリヨシ]
出版社にて百科事典、月刊誌、書籍編集などに従事した後、1986年フリーに転向
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
CTC
6
英情報機関に20年従事した著者が第二次大戦と911の情報錯誤の実例とその要因について記すもの。ここでの情報とは、司令官によってどのようなものが必要か方向付けられ、問題が明確にされたうえで、収集、照合、解釈され、配布されねばならない、とされる。さて実例だが…911直前には非常に多くの兆候があって、何故看過したか不思議なほど。FBIのある支局は実際にハイジャック訓練容疑者を捕らえていたし、なんとロシア、エジプト、フィリピン各政府からも確度の高い警告があったと。CIA他各組織が得ていた情報を照合しておれば…。2015/07/18
Meistersinger
2
インテリジェンスサイクル(方向性の指示・情報収集・情報照合・解釈(真実か・誰が何をやっているのか・何を意味するのか)・報告)が基礎。真珠湾やノルマンジーなどの情報活動の実例が示されているが、失敗事例が興味深い(重要な情報がいつの間にか埋もれていくケースが多いような)。終章の今後の情報活動を扱った部分はやや冗長2011/07/28
やま
0
軍事上の情報活用の失敗事例集。縦割りの弊害と横の連携の重要性は、本書以外でもしばしば指摘される。これを改善するのは非常に難しいことがわかる。2016/06/12
モンドノスケ
0
敵を過小評価➡相手の計画を読み違える。本書と全く関係ない話だがAIIBの参加国数の拡大にも通ずる話だと思う。ただ、ちょっと文章が…。2015/04/20
畝傍
0
悪くはないと思うが、枝葉末節が気になるところ。 日本人としては極東軽視(例えば、近代戦における指揮官の暗殺の例として山本五十六が上がっていない等)が気になる。列強の端っこだからだろうが、日本に対する過大評価と過小評価を往復しているような気もする。2015/01/30