内容説明
世界にはヘンな形をした国境線が少なくない。たとえば、アメリカの州であるアラスカが、カナダを挟んだ向こう側にあるのはなぜか。また、アフリカに目を向けると、ケニアとタンザニアの国境がキリマンジェロ山のところで微妙にうねっているし、ナミビアの北東部は、まるで紐のように細い領土が東へ400キロも延びている。そのいびつな境界線が引かれた経緯をたどってみると、世界の民族、宗教、紛争の意外な史実が見えてくる。
目次
第1章 誰も知らない飛び地の裏側(オランダ/バーレ―ひとつ屋根の下に2つの国がある町;ベルギー国有鉄道―線路はベルギー領、線路の両脇はドイツ領 ほか)
第2章 不可解な場所に引かれた国境線(イギリス/ジブラルタル、スペイン/セウタ―海峡に混在するヨーロッパとアフリカ;アフガニスタン/ワハン回廊―盲腸のように細長く延びた奇妙な国境線 ほか)
第3章 国境に秘められた歴史(アフリカ大陸―なぜアフリカや中東の国境線は直線が多いのか;タンザニア/キリマンジャロ山―王のわがままで捻じ曲げられた国境線 ほか)
第4章 国境をめぐる争い(イスラエル―ひとつの首都に3つの聖地が集まる国;南アジア/カシミール地方―点線で示される「地上の楽園」の国境線 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トムトム
29
もしも国境が無かったら、大きな戦争は起きないけれど小さな諍いは絶えないのだろう。国境は人間にとってだけ意味をなすもの。鳥もクジラも昆虫も、国境なんて関係なく縦横無尽です。ちょっとした線引きで片側は豊かで逆側は貧しかったり。複雑なようで、理由を知ると納得なお話でした。2021/12/20
Akihiro Nishio
6
楽しめた。幾つか有名な国境紛争は知っていたが、本一冊が書けるほどとは知らなかった。自分は常々、「世界の紛争の原因のほとんどは、イギリスが作ったものだ」と言っているが、まさしくその通り。2番目はロシアかな。アメリカなど、現在の紛争のプレイヤーではあるが、イギリスの方が罪が深い。2015/11/02
あらあらら
6
はい、よくしらべました。2014/10/22
sun
3
地政学。曲がった国境や、飛び地など、日本の北方4島もあり。歪んだ報道を正しく解釈するには必須。歪みを直すジャ-ナリストがいない日本。2014/11/09
しまうま
2
世界中にあるおかしな国境線に関する諸事情が端的に書かれており、東ティーモルでの紛争、ガザ地区侵攻など争いの背景を少しでも知ることができる。箇条書きのようにその地域に関する情報を羅列しているといった形式なので深く言及されているとは言いがたい。それでもトイレの中で暇つぶし程度に読んでいると、東ティモールの中で裏切りの恩恵を授からなければならない人々の複雑な心境を思うと、何か妙な気持ちが湧いてくるのも事実だ。2010/09/04
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