内容説明
日本とロシア(ソ連)の国境が交錯した樺太には、両国民以外にも、北方民族のアイヌ・ニブフ・ウィルタや中国人、さらには多層的な移住朝鮮人が混在した。日本統治下の樺太は、水産資源から森林・パルプ、そして石炭へとその主要な産業を変化させつつ、複雑な相貌を持つ境界に位置した植民地であった。本書では、現代のサハリンを踏査した著者のリポートも織り交ぜながら、日本の植民地時代の樺太を通観し、国境・民族・植民地といった問題を、朝鮮や満州などの植民地研究とは異なる視角から、みつめなおす。
目次
プロローグ 国境と植民地
1 豊原出現
2 北海道に倣って
3 紙の王国
4 越境する人々
5 森林から石炭へ
エピローグ 鉄のカーテンの彼方へ
著者等紹介
三木理史[ミキマサフミ]
1965年9月、大阪府生まれ。1991年3月関西大学大学院文学研究科博士課程後期課程中退(歴史地理学専攻)。奈良大学文学部助教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のうみそしる
3
全然知らなかった樺太の歴史と地理。名前が変わりすぎて覚えるのがムズい。同じ植民地といっても台湾や韓国とは異なる扱いだった。北海道の開拓に近い感じ。日本の敗戦にもかかわらず朝鮮の人々は各国の思惑に振り回されて故郷へ帰れなかった。いつか訪れてみたい。2021/11/02
まっちゃん2
1
樺太の近代の歴史と地誌のうち、日本領であった時代の詳しい状況を分析。元々多数の少数民族がそれぞれの文化をもって暮らしていた樺太。ロシアが進出してきて、割と早く進出してきた日本とぶつかる。明治初期の千島樺太交換はロシアの軍事力に日本が屈した日本が大損な取引だった。日露戦争で日本が南半分を取り戻したことになる。そのあいだに日本は一生懸命樺太で産業を興そうと努力するが中途半端なところで敗戦。戦後ロシアはそのインフラを活用するのだが、現在も中途半端。2023/12/10
紙魚
1
対馬海峡より細い宗谷海峡