出版社内容情報
柳田国男の学問を“一回性のない歴史”という日本史の未墾の地に挑戦した歴史学と捉え、著者独自の歴史学を構築せんとする全篇書き下ろしの意欲作。1973年度毎日出版文化賞受賞 塙選書78
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
2
「近代の産業都市以前の日本都市の機能を、柳田は商業に認めていた。そして、交易には「何時の場合にも、受身と働き掛けとの二つの場合がある」といい、もと農民の「働き掛け」に始まった市が、常市→町へと発展するにともなって「商人は坐して日用品の来り給するを待つて居なければならぬ」こととなり、「働き掛け」は一転して「百方手段を講じて田舎の人物を、好条件を以て引寄せん」とする「町の住民」の側に移ったのであって、「それが官権からも認められ、支持せられると、追々に都市を本位とした資本組織が発達」したと、説明している。」2022/10/11