目次
1部 日本書紀論(天武十年の帝紀・上古諸事記定と舎人親王の日本紀編纂体制―令制下の国史編纂体制との対比を軸として;『日本書紀』の「別巻」をめぐって―奈良時代のアーカイブ;『日本紀』「系図一巻」と「皇親名籍」―再考;『日本書紀』書誌的研究の現状と課題;『上宮記』と天皇記・日本書紀;考古学からみた『日本書紀』の原史料―陵墓記事を考える)
2部 各論(磯城島の大和―枕詞の発想と用法;「任那復興」と推古朝の対朝鮮外交;ヤマト政権と百済王家の内紛―四世紀末の内乱に関連して;天武朝の仏教政策;三嶋溝咋の神話と関連氏族;上毛野氏と住吉・宗像―外交・外伝伝承をめぐって)
感想・レビュー
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terve
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日本書紀撰進1300年記念にあわせて刊行された、塙書房の日本書紀研究第三十三冊です。荊木先生は『日本書紀』の「別巻」が『日本書紀』編纂のために蒐集した情報の残余であるとしています。上遠野先生は日本書紀研究の書誌的研究を八つに分類し、現在の到達点と課題を記しています。塚口先生は考古学の成果と照らし合わせ、四世紀に内乱があったことを指摘しています。寺西先生は天武天皇の仏教政策は自身の出家をもとに施行したものであるとしています。日本書紀撰進1300年という記念すべき年に、示唆に富んだ論攷の多い一書でした。2020/03/28