目次
結節的存在としての地域文化人
第1部 地域文化人の自己形成(神職専業化志向と蔵書形成;手習塾師匠としての確立;旅の学び―メディアとしての名所;家継承のための教育)
第2部 地域文化人のネットワーク(井上家の人間関係;神職ネットワークを通じた国学受容;在京生活と交遊)
第3部 地域文化人の活動展開(漢学塾への遊学―安芸国における咸宜園系譜塾の展開;漢学塾三亦舎における寄宿生活)
第4部 地域文化人の転身(教導職としての教化活動;小学校教員の形成―明治前期の教員速成と改良;明治前期山県郡の教育状況と教育会の設立)
地域文化人の役割
著者等紹介
鈴木理恵[スズキリエ]
1961年10月高知県に生まれる。1984年3月広島大学文学部史学科卒業。1989年3月広島大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。2011年3月博士(文学)。長崎大学教育学部助教授を経て、広島大学大学院教育学研究科准教授。専門分野は日本教育史学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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笠井康平
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19世紀の広島で、とある神職の一族がどんな暮らしをしていたか丹念に追いかけた本です。子育てにかかったお金や、手習いに使う紙の枚数、入門者数の増減まで調べつくしてあります。厚さはありますが、学術論文の型できっちり構成してありますし、題材となった家族のちょっとした物語が次々と描かれていきますので、すらすら読み進められます。2013/07/05
人生ゴルディアス
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地域の中心的な神社を司る井上家の、幕末前後の様子から当時の地域文化人の模様を描き出そうという試みの本書。手習い塾などをつうじて地域の教育に勤める傍ら、自身も官位を賜りに上京し、京都で他の神職の人間と交流を持ったり、平家物語にちなむ瀬戸内海の名所をめぐったりする様子を日記から明らかにしていく。また、神職につくために漢学を学びに寄宿生の塾に行った時のエピソードなど、著者が女性というわけではなかろうが、非常にBL臭がした。実際、男色はあったのだろう、という記述が手紙に残されているようだ。やや長いが、非常に良書。2012/05/07