内容説明
「所有とは窃盗である」という命題によって一大センセーションを巻き起こし、『貧困の哲学』でマルクスの反発を招き(『哲学の貧困』)、現代史の原点と言われる二月革命(一八四八年)を生きたP=J・プルードン。彼は「人民銀行」を創設し、金融の支配と大企業の専横に抵抗した。また、地方の出身に誇りを持ち、ジャコバン的国家に対しコミューンの自治を求めたアナーキズムの父でもある。いまブルードンは、ネオ・リベラリズムのグローバル化を経て末期的症状を呈しつつある資本主義に代わる新たなオルタナティヴを求めて甦る。
目次
はじめに 現代性の歪み
第一章 アナーキズムの父の生と死
第二章 資本家の捕食に抗して
第三章 現代人の二重の疎外
第四章 各政治体制の悪徳と美徳
第五章 ブルードンのイデオロギー的懐疑主義
第六章 極端さのバランス
第七章 完全な連合主義
第八章 個人、コミューン、国家
第九章 保護貿易主義
第十章 所有の理論
第十一章 相互扶助論の哲学的原理
第十二章 協同的労働
第十三章 モラルの必然性について
第十四章 神とともに、それとも神なしに?
第十五章 現実的なものの弁証法
おわりに 精神の革命にむけて
著者等紹介
イザベル,ティボー[イザベル,ティボー] [Isabel,Thibaut]
1978年ルーベ(フランス北部、ノール県)生まれ。哲学者、作家、編集者。リール大学で哲学博士号取得。雑誌『イナクチュエルL’Inactuelle』を主宰
山本光久[ヤマモトミツヒサ]
1950年生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科卒。「日本読書新聞」「現代詩手帖」「図書新聞」編集長、日本ジャーナリスト専門学校講師、就実大学表現文化学科教授を経て、現在フリー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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