内容説明
ケネルクラブ、ドッグショー、ブリーダーによる犬のブランド化のおかげで、多くの「純血種」が遺伝性障害に苦しんでいる。私たちは「人類最良の友」にいったい何をしてきたのか?人間の強欲と犬の受難を描いた壮絶な「純血種」の歴史と真実。
目次
第1章 イギリスの古き良き伝統
第2章 純血種への行き過ぎた信仰
第3章 犬による社会的地位の証明
第4章 優生学と犬と人間
第5章 見世物にされた犬たち
第6章 ミダス王の手
第7章 売買される貴族の地位
第8章 猟犬たち
第9章 ラブラドール・レトリーバーの帰還
おわりに―フランケンシュタイン博士の研究室、あるいは城で暮らすための代償
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
29
著者の感情的な文体にちょっと鼻白んだが、それも無理ないことだ。純血種の犬や猫が持つ問題は、飼ったことがある人ならすぐ気づくだろう。自分は柴犬とシェパード(警察犬)のF1(柴犬が雄!)を飼っていて、彼のすべてを愛していた。最近のジャーマンシェパードの変貌に驚いていたのだが、この本で多少なりともその理由を知りげんなり。最後に紹介されていた希望には少し救われた。友人も廃棄された種犬や処分寸前のグレートデン、保存会からはねられた甲斐犬を引き取っているので…。未来が明るいものになるよう犬を愛する人々に期待したい。 2020/09/05
魚京童!
14
可哀そうだよね。このビョーキにかかると大変だ。なんでもいいけど、選ばれたとか、自分しかもっていないとかどうでもいいんだよね。みんなと同じことをしていても輝く。それがいいと思う。それを持ってるからすごいっていうのは大体すごくない。なんでだろうね。2020/03/09
こぽぞう☆
12
図書館本。多かれ少なかれ知ってたこと。が、ここまでとはと思う面も。イギリス(上流階級への羨望から)アメリカ(イギリスへの羨望から)は日本より事情悪そう。ここにあること大体知っていたのと、それでもなおかつ諸般の事情から超小型犬が欲しかったのとで、うちの犬はマルチーズとヨークシャーテリアのMIXだ。血統書はないけど、いい子だよ。2019/07/18
とりもり
7
衝撃的な内容。当然のように近親交配を重ねて作られた犬種が健康な訳はないとはいえ、人間の恣意的な審査基準を満たすために歩くことや呼吸することすら満足にできないように、比較的身近なブルドッグすらなっているとは。この間、後ろ足の股間がおかしくて散歩中によたよた歩いているブルドッグがいたけど、あれは決して特殊じゃないということ。一時期、ペットショップがが悪者にされていたが間違ってますブリーダーも含めた純血種のあり方自体が問われているのではないかと。動物を愛する人みんなに読んで欲しい一冊。★★★★★2019/05/17
K
6
この本読んで犬を人間の相棒でなく、人間の奴隷と思う人が多いと思う。人間に振り回されすぎて犬たちに申し訳ない… だけど、特定の犬種を飼いたいという気持ちがあることが、今までの歴史の延長上に加担することになる。シェルターから犬を引き取って育てることが犬にとって1番いいとわかっていても、トイプやダックスや柴やコーギーを飼いたい気持ちも消えない… 歴史を変えるのも、人の考えを変えるのも難しい… 2020/05/15