内容説明
収容された囚人1万4000人、生き残った者わずか7人。謎に包まれたポル・ポトの秘密監獄の全貌がついに明らかに!とんでもない残虐さを発揮する人の心の闇に迫る。
目次
第1章 秘密監獄が見つかった
第2章 S21という完全統制施設
第3章 粛清―ターゲットを選び出す
第4章 尋問―容疑を作り上げる
第5章 拷問―答えを強要する
第6章 S21とは何だったのか
付録 冤罪を訴える囚人の叫び
著者等紹介
チャンドラー,デーヴィッド[チャンドラー,デーヴィッド][Chandler,David]
1933年、ニューヨーク生まれ。米外交官としてプノンペンに滞在した後、オーストラリアのモナシュ大学で東南アジア史を講じ、カンボジア研究を進める。現代カンボジア史研究の第一人者。現在、モナシュ大学名誉教授。米ワシントン在住
山田寛[ヤマダヒロシ]
嘉悦大学教授。1964年東京大学文学部仏文学科卒業、読売新聞社入社。サイゴン支局、バンコク支局、パリ支局駐在員、ワシントンのアメリカ総局長、調査研究本部主任研究員などを務めた。2001年4月から現職
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感想・レビュー
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金吾
27
狂った人間が支配する国、主権がない人民の悲劇に戦慄しました。気分が悪くなる部分もありましたが、読んで良かったと思いました。2022/09/10
テツ
4
ポル•ポトはいつからからかコカインに溺れ、四六時中吸引していたという記事を何処かで読んだけれど、圧倒的な力とカリスマを持つ個人に率いられた集団はその頂点のたった一人が狂うと歯止めが利かずにどんどん暴走していくんだろうな。薬物だけの影響とは言わないけれど。ポルポト個人に全ての責任をなすりつけて片付けるのではなく、そのときに周囲にいた人間の責任と、同じ立場になったときに自分は声をあげることができるだろうかということを自らに問い続けなければならない。2014/11/02
aya
2
もう一度買って、読もう。そう思わせてくれる名著だった。収容所ものとして名高い『夜と霧』は実際の収容者の視点から書かれたものであるが、本書はその時代を全く経験していない著者によるものだった。それがゆえに、客観性がでていたように思う。また、豊富な具体例から本質を探っていくスタイルには好感を持てた。私たちは虐殺者をただ憎むだけではダメで、つねに虐殺する側になる可能性があることに留意すべきだ、というのは炯眼。2014/06/09
Arte
1
扇情的なタイトルだが、作者は『ポル・ポト伝』の人と同じで、収容された約1万人のうち、生きて出てきたのは7人と言われる、ポルポト時代の有名な監獄について、大量に残っていた供述書を調べて研究した本。2017/10/29
しく
0
ポル・ポトが台頭する一連の流れをカンボジア史として把握する場合、同著者の『ポル・ポト伝』の方が良くまとまっていると思われる。この著作単独では、カンボジア全体がイカれていった流れが掴めないはずだ。 これだけではイカれているのがカンボジア共産党全体の傾向なのか、S21が極端な例外なのかも分からない。是非『ポル・ポト伝』の方も読むことをおすすめする2015/06/19