内容説明
音楽はなぜ、これほど人の心を動かすのか。その不思議な力は、どこから生まれるのか。音楽への愛と人間への深い洞察を交鎖させ、精神医学者が改めて問う生きることの意味。
目次
1 音楽の起源と社会的機能
2 音楽、脳、体
3 根底にあるパターン
4 言葉なき歌
5 現実からの逃避か?
6 音楽を一人きりで聴くこと
7 世界の最も内奥にある本質
8 生を意義づけるもの
9 音楽の重要性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kthyk
18
音楽と建築は何の役に立つのか。生活の贅沢品か、つかの間の楽しみ、人生の飾りものか。音楽は単なるるエネルギーの発散ではない、慰みでも、癒しでもない。それは共に人間が生き延びるために不可欠なもの。文字のない無文字社会における役割。そこでは当然、音楽と建築は文字に変わる役割をはたした。方法は「特別なもの」を生み出すこと。もともと詩と音楽は一体、他の人間とコミュニケーションしたいという、主観的・主情的要求から生まれたもの。やがて、音楽は感情伝達手段へ。集団においては、個々人の間の人間の絆を強める手段へと転化する。2021/03/05
柿の種
2
昔読んだ本です、整理のため登録しています。2024/06/22
ありさと
2
著者は精神科医だったのか。初めのほうは音楽の起源と役割、音楽が人間に与える影響や脳の機能、西洋音楽における音階の成り立ちと、外形の話。あとのほうではショーペンハウアーとフロイト、ニーチェとユングを引っ張り出してその本質を論じる。音楽とはそのもので説明を必要としないものであるとか、数学との対比とか、難しいけど面白い。しかし一人下手な訳者がいたような気もする。2015/02/05
m-bone
1
ヴァーグナーにとっての至高の喜びとは、「生を手放す喜び、もはや存在しなくなる喜び。」だそうだ。その視点をもって彼の曲を改めて聞いてみると、「死」が聴こえてくるような。。。 音楽を聞くと人間はどう感じるのか、そもそも音楽はどのように発生したのか。音楽と哲学、最後は音楽と数学の対比まで、少々難しい音の理論も書いてあるが、音楽を概念的に理解できる素晴らしい本でした。2013/07/14