内容説明
なぜチンパンジーはヒトになれなかったのか?私たちの心が持つ“わずか2つの性質”がすべてを変えた。動物行動学と心理学を駆使し、人間の心の本質に迫る科学ノンフィクション。
目次
最後の人類
生き残っている親類たち
心と心の比較
話す類人猿たち
時間旅行者
心を読む者
より賢い類人猿
新しい遺産
善と悪
ギャップにご注意
現実の中つ国
どこに行くのか?
著者等紹介
ズデンドルフ,トーマス[ズデンドルフ,トーマス] [Suddendorf,Thomas]
クイーンズランド大学の心理学教授。人間の心の進化に関する謎の解明に取り組んでおり、これまでにアメリカ心理学会や科学的心理学会、オーストラリア社会科学学術会議などの賞を受賞したほか、研究成果は『ニューヨーク・タイムズ』誌や『ディスカバー』誌、『サイエンス』誌、『ニュー・サイエンティスト』誌などでも取り上げられている。現在、オーストラリアのブリスベーンに在住
寺町朋子[テラマチトモコ]
翻訳家。京都大学薬学部卒業。企業で医薬品の研究開発に携わり、科学書出版社勤務を経て現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨクト
15
人類とその他生物を隔てる違いについて考察。人類が神に選ばれた生物という考えは好きではないが、何かしらの確固たる違いがあることも確かだろう。言語、二足歩行、火の使用、体毛の消失。特異点は多く存在するが、それは他の生物にも見られる特徴でもあり、人間の特異性の説明にはならない。本書はどちらかというと心や思考の持つ力が人間と他の生物でどれほど違うのかを検証。動物が話せるわけではないので、いろんな行動から動物の心を探るのが興味深かった。2016/04/24
那由田 忠
9
脳の仕組みや人間の本質についての本はいろいろ読んできたが、この本は非常に優れている。最新の情報が手際よくまとめられている、2013年の本だ。タイトルもよくできている、原題より一つに絞ったものになったが。 主張は、心の独自性を、「入れ子構造を持つシナリオを生む能力」と「シナリオづくりを他者と共有したい欲求」の結合に求めている。複雑な空想的イメージをつくり、他者と語り合いたがる人間といえばよいだろう。 現実を淡々と生きている類人猿とは、様々な能力の点で似ているものの決定的なギャップがあるようである。2015/05/13
臓物ちゃん
8
人間と動物って何が違うのよ?という哲学的な問いに進化心理学から迫った一冊。タイトルがかっこいい。ヒトは未来を予測するという能力を得て進化したが、代わりに「自分はいずれ死ぬ」という確実で無慈悲な未来まで予測してしまった、という話はどこか寓話的だ。俺もせっかくヒトに生まれたんだからもっと賢くなりたい。2015/04/07
Mark.jr
4
人間と動物の根本的違いは何かを探る本は他にも色々ありますが、本書は猿から人間へと至る進化の過程を辿るアプローチと、そもそも人間と動物はどこが違うのかを考察する心理学的アプローチの2つが存在しており、それらの本の総決算的内容になっています。じゃあ遂に謎は解けたのかというと、タイトルにあるように、著者は心理学の観点から人と動物を隔てる大きな違いを2つ提唱していますが、何が起因してその違いが成立したのかは分からないままです。この本の説もまた比較検証されて、更なる真実へと近づいて行くのでしょう。2019/07/31
そらのひつじ
4
人と動物を隔てる根本的な違いは何か。言語コミニケーションから時間概念、他利的行動、文化など、主に心の動きや性質に注目して人の特有性に迫る内容。言語、将来、他者の心の予測など人には当たり前のことも、他の動物では極限られるか全然存在しないようだ。単に人は他の動物より賢いではなく、心の動き、想像の広さに根本的な違いあるとの見方は、興味深く刺激的である。2015/01/11
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