祈りの記憶 長崎と天草地方の潜伏キリシタンの世界

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  • サイズ A5判/ページ数 167p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784826506816
  • NDC分類 198.221
  • Cコード C0016

出版社内容情報

世界遺産候補の12資産を紹介し、一方で後継者不足などにより途絶えつつある「かくれ」キリシタンの現状を記録するルポルタージュ長崎新聞紙上で関連遺産を取材してきた記者が世界遺産の勧告に沸く12資産を大判の写真を挿入しながら紹介しつつ、その一方で後継者不足や宗教意識の希薄化により途絶えつつある「かくれ」キリシタン信仰の現状を記録するルポルタージュ。

17?19世紀の2世紀以上に及んだ禁教令の下、長崎県と熊本県天草地方で潜伏したキリシタンが育んだ独特の信仰のかたち。それは「かくれキリシタン」によって現代に引き継がれている。
潜伏キリシタンが暮らした離島、へき地の風景が語りかけてくる「真実」とは?
近年の研究成果を交えながら潜伏・かくれキリシタンの新事実に迫る。

口絵
第一章 遺産の概要
1 長崎県とキリスト教
■盛んなキリスト教信仰/■伝来と繁栄/■潜伏と弾圧/■復活とかくれキリシタン
2 世界遺産としての価値
■世界遺産とは/■潜伏キリシタン遺産の世界遺産価値/■潜伏キリシタンの信仰/■4つの段階/■12の構成資産/■潜伏とかくれの違い
3 登録までの道のり
■民間運動/■2度の「落選」/■イコモスの指摘/■悲願の登録
4 潜伏キリシタン遺産の課題
■過疎化/■祈りの場を守る

第二章 世界遺産への旅
1 原城跡(長崎県南島原市)――「島原の乱」激戦の舞台 禁教政策強化の契機に
[コラム:人の業 問い掛ける]
2 平戸の聖地と集落?春日集落と安満岳(長崎県平戸市)――異なる宗教が共生 重なり合う信仰のかたち
[コラム:おおらかな宗教観]
3 平戸の聖地と集落?中江ノ島(長崎県平戸市)――殉教地に染み出る聖水 かくれ信者の崇敬集める
[コラム:消えゆくかくれキリシタン]
4 天草の?津集落(熊本県天草市)――漁村に根差した信仰 踏絵の場に立つ天主堂
[コラム:「証拠」残る唯一の資産]
5 外海の出津集落(長崎県長崎市)――予言の神父 待ち続け 日繰り伝承 教え受け継ぐ
[コラム:対立を超えた祈り]
6 外海の大野集落(長崎県長崎市)――神道装いひそかに信仰 土地に残る「かくれ」の記憶
[コラム:外海キリシタンの移住]
7 黒島の集落(長崎県佐世保市)――牧場跡に移住、開発 寺院に隠したマリア観音
[コラム:求められる特性]
8 野崎島の集落跡(長崎県小値賀町)――神道の聖地に隠れ住む 険しい地形で苦難の生活
[コラム:謎の奇岩「王位石」]
9 頭ヶ島の集落(長崎県新上五島町)――病人の療養地に入植 仏教徒の開拓指導者と協力
[コラム:キリシタンの天国]
10 久賀島の集落(長崎県五島市)――新天地求め未開地へ 「牢屋の窄」で苛烈な弾圧
[コラム:教会建てた島の大工]
11 奈留島の江上集落?江上天主堂とその周辺(五島市)――ひそかな信仰の終焉 地勢に適応した教会建築
[コラム:小さな集落の大きな心]
12 大浦天主堂(長崎市)――2世紀ぶり 宣教師と「再会」 続々信仰表明 禁教令撤廃へ
[コラム:人権の扉を開いた姉妹]

第三章 特集・ルポ
【平戸の聖地と集落(中江ノ島)】かくれキリシタンのお水取り――岩をつたう殉教者の「血と涙」
【外海の出津集落】雪のサンタ・マリア――信仰支えた聖母の微笑
【久賀島の集落】信徒が消えた集落――山に返った苦難の地 山中に残る墓地、教会跡
【大浦天主堂】「信徒発見」 の背景――潜伏キリシタンを支えたオラショ、予言
【大浦天主堂】浦上キリシタンの信仰――親から子、子から孫へ

第四章 かくれキリシタン再考
1 謎――生月と外海 異なる信仰形態
2 生月――禁教以前の形態残る
3 外海――再布教の痕跡目立つ
4 五島――移住は「経済的事情」
5 石――「神が与えた地」の象徴
6 組織――欧州の信心会が起源
7 継承――貿易拠点に残った信仰
8 祈り――受け継がれる心の祈り

松尾潤[マツオジュン]
著・文・その他

目次

第1章 遺産の概要(長崎県とキリスト教;世界遺産としての価値 ほか)
第2章 世界遺産への旅(原城跡(長崎県南島原市)
平戸の聖地と集落―春日集落と安満岳(長崎県平戸市) ほか)
第3章 特集・ルポ(“平戸の聖地と集落(中江ノ島)”かくれキリシタンのお水取り
“外海の出津集落”雪のサンタ・マリア ほか)
第4章 かくれキリシタン再考(謎;生月 ほか)

著者等紹介

松尾潤[マツオジュン]
1968年長崎市生まれ。早稲田大学教育学部卒。1993年、長崎新聞社に入社、報道部に配属。経済、教育、警察、県政を担当。運動部、大瀬戸支局長、整理部を経て2006年から8年間、生活文化部で主に歴史、文学を担当。2014年から報道部で世界遺産を担当し、2015年7月にドイツ・ボンで開かれた第39回ユネスコ世界遺産委員会を取材。報道部次長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

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かおりんご

22
長崎の世界遺産に興味をもった、あまり潜伏キリシタンの歴史を知らない人向け。初心者向けのガイドブックのような感じです。どういった経緯で世界遺産になったのかや、潜伏キリシタンとかくれキリシタンの違い、今回世界遺産になった教会の説明が分かりやすく書かれています。これを手始めに、キリシタン弾圧に興味をもってほしいなぁと思うマニアな私です。2018/08/25

花林糖

11
潜伏キリシタンとかくれキリシタンの違いを知らなかったので、この本で知る事が出来て良かった。現在のかくれキリシタンの現状・各地の集落や集落跡等わかりやすく説明されていて読み応えありました。天草の崎津教会の祭壇の場所が毎年踏み絵をしていた庄屋跡だったとは、以前訪れた時の雰囲気に納得です。2020/05/21

路地裏のオヤジ

5
言葉では言い表すことのできない過酷な環境で信仰を守り続けた人々が世界遺産ということなのだと痛切に感じた。正しく人類に残すべき遺産。読んだ直後にNHKのヒストリアで特集していたので、その思いが余計に強かった。でも明治の産業遺産よりも、この世界遺産の方を先に推薦すべきやろう!2018/10/08

takao

2
ふむ2023/07/09

owlsoul

1
1571年、ポルトガル貿易のために開港した長崎はキリスト教布教の中心地となる。その後、江戸幕府によって激しい弾圧を受けたキリシタンは、仏教徒や神道の氏子を装い「潜伏キリシタン」として密かに信仰を続けた。幕末になると日本は開国を迫られ、外国人居住区が造られた長崎には彼らのために大浦天主堂という教会が建てられる。1865年、潜伏キリシタンが大浦天主堂を訪ねたことにより、250年に渡る信仰の継承が発覚した。信仰の自由を得た後も潜伏期の信仰形態を維持した一部の信者は「かくれキリシタン」と呼ばれ、今もなお存在する。2021/11/27

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