出版社内容情報
民俗学、文献史、美術史、宗教学、考古学、石造学など学際的な論考を収録し、新しい視点から多面的に潜伏キリシタンの世界を描く。■長崎・外海の潜伏・かくれキリシタンの人たちは、農林魚民から町人、武士や大名に至るまで、あらゆる暴虐や圧政に屈することなく、江戸時代の禁教期を生き延びて、明治期にいたるまでキリスト教の信仰を守り続けた。そこでは幾世代にわたって伝承されるなかで習俗と共存した、極めて特異な信仰世界が垣間見れるものであり、現在にいたるまで受け継がれている。
■潜伏キリシタンの教えは、伝来当初の「カトリック」から日本独自の「かくれキリシタン」という宗教形態を創り出した。旧約・新約聖書から編み出された「天地始之事」で聖地・外海の空間を設定し、日本語による教会祝日表(太陰暦)によって編纂されたバスチャンの「日繰り」で時間軸を規定し、「オラショ(祈りの言葉)」を唱えて日常の信仰生活を送っていた。これらは迫害の中で潜伏を余儀なくされたキリシタン達の信仰生活の規範となったものであり、今日なおかくれキリシタンの中で外海・五島に継承されている。
■民俗学、文献史、美術史、宗教学、考古学、石造学など各領域の論考を収録し、新しい視点から多面的かつ学際的に外海南部の潜伏キリシタン世界を描く。
はじめに――天地始まりの聖地・外海(大石一久)
特別再録 かくれキリシタン紀行(谷川健一)
1 天地始まりの聖地・長崎外海―─潜伏キリシタンとその時代(松川隆治)
コラム1.松川隆治先生と外海潜伏かくれキリシタン(西田奈都)
コラム2.「枯松」と墓標(大石一久)
2 外海のキリシタン世界―─「天地始之事」、「バスチャン暦」にみる一考察(児島康子)
コラム3.なぜ「天地始之事」は伝えられたのか(西田奈都)
3 かくれキリシタン信仰の地域差について(中園成生)
4 大村藩と深堀領飛び地の境界(松川隆治)
5 「元和八年三月大村ロザリオ組中連判書付」の地名と人名の図(解説)(長瀬雅彦)
6 外海地方のキリスト教関連遺物(浅野ひとみ)
7 野中騒動と聖画(岡美穂子)
8 外海の文化的景観とその価値(柳澤礼子)
9 外海の潜伏キリシタン墓―─佐賀藩深堀領飛び地六カ村と大村藩領の潜伏キリシタン墓の比較(大石一久)
コラム4.松崎武さんのこと(松尾潤)
10 新天地を求めて―─外海から五島、そして新田原へ(大石一久)
特別再録 隠れキリシタン発見余聞(皆川達夫・田北耕也)
あとがきにかえて――長崎と河内をつなぐキリシタン世界(小林義孝)
執筆者略歴
松川隆治[マツカワタカハル]
編集
大石一久[オオイシカズヒサ]
編集
小林義孝[コバヤシヨシタカ]
編集
長崎外海キリシタン研究会[ナガサキソトメキリシタンケンキュウカイ]
編集
目次
はじめに―天地始まりの聖地・外海
特別再録 かくれキリシタン紀行
天地始まりの聖地・長崎外海―潜伏キリシタンとその時代
外海のキリシタン世界―「天地始之事」、「バスチャン暦」にみる一考察
かくれキリシタン信仰の地域差について
大村藩と深堀領飛び地の境界
「元和八年三月大村ロザリオ組中連判書付」の地名と人名の図(解説)
外海地方のキリスト教関連遺物
野中騒動と聖画
外海の文化的景観とその価値
海外の潜伏キリシタン墓―佐賀藩深堀領飛び地六カ村と大村藩領の潜伏キリシタン墓の比較
新天地を求めて―海外から五島、そして新田原へ
隠れキリシタン発見余聞
あとがきにかえて―長崎と河内をつなぐキリシタン世界
著者等紹介
松川隆治[マツカワタカハル]
長崎県立高校教諭、長崎巡礼センター在籍外海潜伏キリシタン調査に従事、地元やテレビ、講演会で潜伏キリシタンの理解と検証を行っている。枯松神社保存会会長、外海潜伏キリシタン文化資料館館長。長崎外海キリシタン研究会代表
大石一久[オオイシカズヒサ]
長崎県立高校教諭、長崎県文化振興課、長崎歴史文化博物館に勤務。日本石造物研究会副代表。大浦天主堂キリシタン博物館研究部長。中世の日引石塔研究を通して近畿から九州・東北に至る中世の海道・日本海ルートを解明するなど中世石塔研究を専門とする
小林義孝[コバヤシヨシタカ]
摂河泉地域文化研究所理事、歴史民俗学研究会会員。古代から近世の葬墓制研究を行う。河内を中心とする地域の歴史の解明につとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。