内容説明
戦後ニッポンで勃発した事件と犯罪は、それぞれの時代の世相を象徴している。53の事件と犯罪の実相を解読し、転変する世相と社会構造を検証する。さらに、新装増補版のために、補論「オウム真理教事件について考える」を付し、宗教と国家をめぐる犯罪論的視点から事件の重大な意味を問う。
目次
占領軍の犯罪と報道 1945
小平義雄連続暴行殺人事件 1946
山口判事「餓死」事件 1947
帝銀事件 1948
下山事件 1949
三鷹事件 1949
松川事件 1949
東大医学部助教授毒殺事件 1950
印藤巡査殺害事件 1951
白鳥警部射殺事件 1952
静岡県上野村村八分事件 1952
菅生事件 1952
オランダ兵タクシー強盗事件 1954〔ほか〕
著者等紹介
礫川全次[コイシカワゼンジ]
1949年生まれ。在野史家。歴史民俗学研究会代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しげ
3
事件のあらましだけでなく、著者独自の視点からの解釈があり、とても興味深かったです。個人的には「金属バット殺人事件」の犯人の凶行に「自己の存在を肯定するためには、自己の存在を否定するものを否定するしかない、という考えがあったのではないか」という解釈が印象に残りました。さまざまな事件を追うなかで、ときに「共同体のルール」が背景となり、犯罪という行動へ駆り立てることもあるのではないかと感じました。そういった点でも、著者の提示する「犯罪民俗学」に関心を抱きました。2018/12/25
コリエル
2
買った時には気付かなかったけど、旧版も読んでたなこれ。戦後の犯罪史を年代順にさらっていくという趣向。50以上の事件を紹介してあるため、一つ一つのトピックに関して深い掘り下げはない。ただ、大事件であるということにこだわらずに編集してあるため、類書では扱われていない事件もそこそこあるので読む価値はある。体罰やイジメ関連の事件などは犯罪史と名に付く書籍ではなかなか取り扱いがないので、事件背景や考察もなるほどなと読めた。2016/08/25
さやま
0
戦後の犯罪について書かれた本です。 犯罪そのものの内容や被害者がどうなったかという部分を掘り下げるのではなく、時代背景や犯人等について深く書かれていて非常に興味深かったです。 知っている事件も多々ありましたが、知らなかった部分や解釈をたくさん知ることができました。2017/09/01