出版社内容情報
「昭和34年9月26日午後、愛知県地方を襲った未曾有の伊勢湾台風で、江南市前野町の旧家吉田龍雲家の古土蔵が損壊して、多くの収蔵品と共に多数の古文書が発見された」と言われる前野家文書『武功夜話』の真贋をめぐってさまざまな見解が交錯してきた。『武功夜話』は果たして真書なのか、それとも荒唐無稽な偽書なのか。
昭和29年、町村合併によって誕生した「富加」という地名が『武功夜話』に記載されていることを手掛かりに、その成立時期が、384年前の古文書ではなく、戦後に書かれた偽書であることを突き止め、『信長公記』ほか信頼できる古文書の緻密な歴史検証をとおして偽書の真相を徹底的に解明する。藤吉郎・秀吉の名を一躍有名にした「墨俣一夜城築城」は事実と合理性に反していて、事実は「伏屋城砦」であり、『信長公記』の編年が多くの誤解を生んだ背景を解明して、その改定遍歴を提示する。
【目次】はじめに/序章 前野家文書『武功夜話』とは/◎『武功夜話』のあらかた/◎『武功夜話』の中心人物/◎なぜ『武功夜話』の真贋判定が必要なのか/◎今もって衰えない『武功夜話』への賛意表明に反論する/第1章 『武功夜話』の成立時期に関る地名問題/◎「富加」の地名問題/◎部分的に加筆された可能性について/◎短期間に書けるか?の疑問について/第2章 『前野氏系図』の検証/◎系図への視点/◎『良峰氏系図』に系いだ「前野氏系図」/◎良峰前野姓の発祥地/◎坪内氏と『武功夜話』前野氏との関係/◎『武功夜話』前野氏と旗本坪内氏に婚姻関係は無かった/◎『妙興寺文書』からの剽窃/◎前野宗康の出自/◎前野小兵衛の実像/◎『武功夜話』の前野小兵衛/◎「さらさら越え」/◎小兵衛を剽窃した『武功夜話系図』/◎良峰氏族末裔の旧家という風聞はあったか?/◎「助さん」の剽窃を狙った『前野氏系図』の大失態/◎「吉乃」について/◎虚説・蜂須賀小六の母方由縁譚/第3章 尾濃平定に関る記述の検証/◎美濃國墨俣責図/◎岩倉城陥落時の城主/◎小牧山築城/◎築いたのは居城か要害か/◎築砦時期の問題/◎清洲城の崩壊/◎小真木山と小牧山/◎『小牧町史』の記述から/◎小牧山城に二層の石垣/◎桶狭間合戦に関して/◎於久地城攻略/◎犬山城攻略/◎伊木山攻防の史実/◎堂洞城攻略は二度あった/◎藤吉郎の出世城は伏屋一夜城/◎「達禅」について/◎稲葉山城落城/◎稲葉山城落城永禄十年説は虚妄であった/◎『信長公記』を補えない『武功夜話』/◎墨俣一夜城譚/◎《州俣》に関する『信長公記』記述/◎「州股御要害丈夫に仰せ付けられ」の意味/◎虚妄の永禄九年九月墨俣築砦譚/◎永禄九年墨俣築砦譚を蔓延させた稲葉山城永禄十年落城説/◎無茶苦茶な記述/◎『信長公記』の編年を改定する/あとがき
昭和三四年に「発見」された戦国史研究における画期的な史書、『武功夜話』は果たして真書なのか、それとも荒唐無稽な偽書なのか。『信長公記』ほか信頼できる古文書の緻密な歴史検証をとおして偽書の真相を徹底的に解明する。
内容説明
昭和29(1954)年、町村合併によって誕生した「富加」という地名が『武功夜話』に記載されていることを手掛かりに、その成立時期が、384年前の古文書ではなく、戦後に書かれた偽書であることを突き止め、『信長公記』ほか信頼できる史料の緻密な歴史検証をとおして、偽書の真相を徹底的に解明する。藤吉郎の名を一躍有名にした「墨俣一夜築城」は事実ではなく、「伏屋城砦」が真説であり、『信長公記』の編年が多くの誤解を生んだ背景を解明して、その改定遍歴を提示する。
目次
序章 前野家文書『武功夜話』とは(『武功夜話』のあらかた;『武功夜話』の中心人物 ほか)
第1章 『武功夜話』の成立時期に関る地名問題(「富加」の地名問題;部分的に加筆された可能性について ほか)
第2章 『前野氏系図』の検証(系図への視点;『良峰氏系図』に系いだ「前野氏系図」 ほか)
第3章 尾濃平定に関る記述の検証(美濃國墨俣責図;岩倉城陥落時の城主 ほか)
著者等紹介
勝村公[カツムラタダシ]
1933年生まれ。扶桑町文化財審議委員、歴史民俗学研究会会員、「ネットワーク播隆」世話人、名古屋郷土文化会会員、尾北善隣史研究会会員。愛知県丹羽郡扶桑町在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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