メンタルヘルス・ライブラリー
自閉症スペクトラム・浅草事件の検証―自閉症と裁判

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  • サイズ A5判/ページ数 184p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784826504287
  • NDC分類 378.6
  • Cコード C3047

内容説明

人間の精神内容や人格には「正常」と「障害」があって、その間に明確な境界線が引かれているというわけではない。では「正常」とは何であり、「障害」とは何なのか。「普通」という言葉に内包される意味が、さまざまな視点から問われなければならない。あたかも「障害」が事件を惹起したかのように切断操作が行われた「浅草事件」。その裁判を検証し、自閉症スペクトラムの実相に迫る弁護士・精神科医・臨床心理士の迫真のレポート。

目次

自閉症スペクトラム入門
自閉症のバリアフリーと合理的な配慮
“気がかりな”特別支援教育の本質
発達障害概念の拡大の危険性について
普通?普通じゃない?―スペクトラムを考える
自閉症スペクトラムの社会的処遇―発達障害者支援法の成立をめぐって
小児療育現場の自閉症スペクトラム
座談会 浅草レッサーパンダ事件―自閉症と裁判をめぐって
浅草・レッサーパンダ帽事件の結末

著者等紹介

高岡健[タカオカケン]
1953年生まれ。岐阜大学医学部卒業。岐阜赤十字病院精神科部長などを経て、岐阜大学医学部精神病理学助教授。日本児童青年精神医学会理事

岡村達也[オカムラタツヤ]
1954年生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程中退。文教大学人間科学部臨床心理学科教授。日本遊戯療法学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出版社内容情報

 自閉症スペクトラムが、「ブーム」といっていいほどの状況にある。正確にいうなら、一方の極には誤解を伴った無関心があり、他方の極には誤解に根ざした過熱がある。では、どこかに正解があるかといえば、本当のところは危ういものというしかないのが現状である。それでも自閉症スペクトラムをめぐっては、良きにつけ悪しきにつけ、半世紀以上にわたる歴史的蓄積があることも確かだ。  自閉症スペクトラムは文字通りスペクトラムだから、「正常」と障害との間に明確な境界線が引かれているわけではない。だから、たとえば福祉的支援が必要な場合には、その範囲をできるだけ広く定義すればいいし、逆に不利益処分をもたらすような場合には、その範囲をできるだけ狭く定義すべきだということになる。そうはいっても、全てがうまくいくとは限らない。広く定義した上での教育が、支援というよりも強制や排除にしかならないような場合もある。狭く定義した上での刑罰が、適切な支援を欠落させてしまう結果もありうる。
 そもそも「正常」とは何であり、「障害」とは何なのか。あるいは、「普通」とはどういう意味を持っているのか。それらを文化の文脈の中でとらえかえすことは、大きな意味をもって

■はしがき ●高岡 健 ―自閉症スペクトラムの現在 ■自閉症スペクトラム入門 ●高岡 健 11 0はじめに/1歴史/2疫学/3症候と成因/4治療を超えて/5新しい論点 ■自閉症のバリアフリーと合理的な配慮 ●大屋 滋
1はじめに/2自閉症に対する社会的関心/3「無のバリア」とマスコミ報道/4「無のバリア」と行政/5自閉症スペクトラムとバリアフリー/6学校教育とバリアフリー/7合理的配慮義務とバリアフリー/8親や家族に対する合理的配慮義務/9医療機関や地域生活におけるバリアフリー/10結語 ■“気がかりな”特別支援教育の本質 ●氏家靖浩
1特別支援教育という気がかり/2時の流れに身をまかせ?/3気がかりなのは子ども? 教師?/4子どもは天使ではない/5教育行政も気がかり/6いつの日か見果てぬ夢を/7付記 ■発達障害概念の拡大の危険性について ●生地新
1はじめに/2臨床経験/3考察 ■普通? 普通じゃない? ●木村一優
――スペクトラムを考える 1普通?/2普通ではないということ/3普通ということ/4文化的体験/5臨床経験/6豊かさを求めて ■自閉症スペクトラムの社会的処遇 ●石川憲彦
――発達障害者支援法の成立をめ下げの理由をめぐって/4獄中結婚の夢、そして破局/5彼はどこからきたのか――私がはじめに見た妹の世界/6彼の恋人さがしの旅――事件(犯行)の背景をなす心境について ■あとがき ●岡村達也
――解題とBOOKガイド 1解題/2読後感/3BOOKガイド/4回顧


 自閉症スペクトラムが、「ブーム」といっていいほどの状況にある。正確にいうなら、一方の極には誤解を伴った無関心があり、他方の極には誤解に根ざした過熱がある。では、どこかに正解があるかといえば、本当のところは危ういものというしかないのが現状である。それでも自閉症スペクトラムをめぐっては、良きにつけ悪しきにつけ、半世紀以上にわたる歴史的蓄積があることも確かだ。  自閉症スペクトラムは文字通りスペクトラムだから、「正常」と障害との間に明確な境界線が引かれているわけではない。だから、たとえば福祉的支援が必要な場合には、その範囲をできるだけ広く定義すればいいし、逆に不利益処分をもたらすような場合には、その範囲をできるだけ狭く定義すべきだということになる。そうはいっても、全てがうまくいくとは限らない。広く定義した上での教育が、支援というよりも強制や排除にしかならないような場合もある。狭く定義した上での刑罰が、適切な支援を欠落させてしまう結果もありうる。  冒頭で私は、あえて「ブーム」という言葉を用いた。残念なことに、「ブーム」の背景には、かつての学級崩壊をめぐる遺産がある。日本の学校教育システムの老朽化に起因する問題を、子

●シリーズ『メンタルヘルス・ライブラリー』の14巻です。

*装丁 臼井新太郎
*装画 鈴木ちさ
*組版 字打屋