帝銀事件はこうして終わった―謀略・帝銀事件

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  • サイズ B6判/ページ数 285p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784826503457
  • NDC分類 326.23
  • Cコード C0021

出版社内容情報

55年目の真実!
帝銀事件の死刑囚として獄死した平沢貞道は、犯人ではない。
真犯人Xは誰か?
多くの疑惑に包まれた戦後犯罪。なかでも帝銀事件、下山事件、松川事件は、GHQ(アメリカ占領軍)の関与を抜きには考えられない。帝銀事件は、陸軍中野学校出身の特務機関員Xが戦犯容疑の免除と引き替えに、アメリカ軍の謀略部員と結託して行なった最高機密の化学兵器(ACH)の実験をおびた凶悪な犯罪である。日本の刑事警察の手が及ぶ事件ではなかった。Xと親交のあった死刑囚平沢貞道の悲劇はそこからはじまっていたのである。

50年の歳月を、一身を賭して追跡した迫真のドキュメント。

●第一章 不思議な歯医者
発端/帝銀事件/磯部主任弁護士/身上調査/行方不明者の不思議/『サン写真新聞』の特集記事

●第二章 虎の絵の金屏風
現地報告書/山田元主任弁護士/平沢貞通の家族のこと/共同通信社社会部記者斎藤茂男/事件後、平沢貞通の手元に入った金/虎の絵の金屏風の行方/平沢貞通の仙台刑務所送り/立川基地日系二世元通訳Tの話/平沢貞通の仲間たち

●第三章 重要参考人
重要参考人/能口ヒロシが逮捕された時期/帝銀事件と二回の未遂事件/安田銀行荏原支店事件の薬品/平沢貞通が金の出所を隠した理由/『甲斐手記』による詐欺事件関係者の面通し

●第四章 アリバイ
帝銀事件時の平沢貞通のアリバイと現在証明/能口ヒロシのアリバイと現在証明/帝銀事件とアメリカ進駐軍/特務機関員

●第五章 最高機密の化学兵器
警視庁捜査一課甲斐係長の捜査記録/伴元少佐の変節/伴少佐以外の九研究員の供述(『甲斐手記』より)/『甲斐手記』の返却と譲り受け/帝銀事件毒物/東大法医学教室筆頭助手野田金次郎/再審請求素案/総括

●終章 平沢貞通と能口ヒロシの関係
不思議な歯医者/能口という男/事件の全貌/

 昭和三三(一九五八)年暮れのことだった。私は埃っぽい木造事務室の椅子に座って考え事をしていた。京浜工業地帯の真っ只中にある建物で、周りは寂寞とした工場の群ればかり。
 私は小さな町工場を経営していた。毎月の末頃、事務員も工員もすべて集めて好きな物を食べさせ、好きなことを言わせるようにしていたのだが、今月は月末が大晦日に当たるため、月末恒例の会合は早目にしなくては、と考えていたのである。そして二一日に実施することに決めた。
 その二一日、皆と会食していると、口の中でガシッと何か固い物を んだ。細かい石でも入っていたか、と取り出してみると、右上の小臼歯に冠せてあった金冠がとれていて、それを んでしまったのだった。
 またあの歯医者に冠せてもらわなくては、と考えたが、すぐには治療に行かなかった。
 もともとその金冠は虫歯の治療で冠せたものではなく、別に痛みはなかったからだ。二年前、私が金を冠せてほしいと頼んだとき、能口ヒロシというその歯医者は「この歯にですか?」と怪訝そうに言ったが、私はかまわず冠せてもらった。今その金冠が落ちてしまったわけだ。こんなことが私の後々の人生を変えてしまおうとは、その時はもちろr> 歯にゴムを詰めただけで、その日の治療はあっという間に終わった。
「今日はこれだけにして、春になってから本格的な治療をしましょう。年末にもういっぺんゴムを詰め換えに来て下さい」
 私の具合が悪くなったのはその翌日からである。
 胃が焼けてキリキリした。ただの胸焼けなどというものではなかった。変なゲップが出て、食欲がなくなってきた。ゴムを詰め換えるから暮れにもういっぺん来てくれと言われていたが、それどころではなかった。
 結局、年末には歯医者へ行かず、正月になった。私はおせち料理もろくに食べられない状態で、どうしてこんなことになったのか、本当に不思議でならなかった。正月も四日ほど経つと、詰めてあったゴムは全部落ちてしまった。
 私が歯医者へ行ったのは八日だった。夕方、能口のほうから電話があって、私はまた夜に出掛けた。治療室にはやはり彼一人しかいなかった。
 治療台に腰をおろし、私はポカンと口を開けていた。彼は私の歯を覗き込んでから、隣の部屋へ行ってしまった。何をしているのか私にはわからない。カルテでも見ているのかと思っていた。やがて、ふたたび彼は傍にやって来て、
「この歯はどうなっていましたか」初めて妻に話し始めた。(「発端」より)

55年目にしてはじめて帝銀事件の真相が明らかになる、迫真のドキュメント。

内容説明

死刑囚として獄死した平沢貞通は、犯人ではない。真犯人Xは誰か?多くの疑惑に包まれた戦後犯罪。なかでも帝銀事件、下山事件、松川事件は、GHQ(アメリカ占領軍)の関与を抜きには考えられない。帝銀事件は、陸軍中野学校出身の特務機関員Xが、アメリカ軍の謀略部員と結託して行なった最高機密の化学兵器(ACH)の実験をおびた凶悪な犯罪である。日本の刑事警察の手が及ぶ事件ではなかった。Xと親交のあった平沢貞通の悲劇はそこからはじまっていたのである。50年の歳月を一身を賭して追跡した迫真のドキュメント。

目次

第1章 不思議な歯医者
第2章 虎の絵の金屏風
第3章 重要参考人
第4章 アリバイ
第5章 最高機密の化学兵器
終章 平沢貞通と能口ヒロシの関係

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