出版社内容情報
国際通貨問題とは何か。国際通貨問題は、サミットやG7において毎年妥協が繰り返されているように、「福祉国家」的政策のもとでは両立困難な国民経済の安定化と国際協調によってしか維持できない不安定な管理通貨制(変動相場制)に象徴される。この宿命的不安定性は金本位制の崩壊後、世界経済の変化と発展を縦軸に、国際通貨をめぐる国民国家と世界市場のせめぎあいを横軸とする両者の絡み合いに源泉する。資本主義にとって最も解決の困難な課題である国際通貨問題を戦間期を含む国際通貨史を通して実証的に解読した現代資本主義論の新展開。
はじめに/序章 国際通貨の何が問題か/0-1 国際通貨問題研究の困難さとその特質/0-2 国際通貨の形成と国際通貨市場/0-2-補論(1)マルクスの世界貨幣規定/0-2-補論(2)世界市場と国内市場/0-3 国際通貨の不安定性/0-4 不安定化と変化を見る視角/第1章 国際通貨ポンドの安定/1-1 ポンドの国際通貨化/1-1-1 ポンドの国際通貨化をもたらしたもの/1-1-2 国際通貨の条件〓ポンドはいかにしてそれを満たしたか/1-1-3 ポンドの安定をもたらしたもの/1-2 ポンドの安定と国際金本位制/1-2-1 本位制/1-2-2 イギリスにおける金本位制の成立と国際金本位制/1-2-3 ポンドの安定と国際金本位制の関連/第2章 過渡期としての戦間期/2-1 第一次世界大戦後の世界経済/2-1-1 世界市場の構造変化とポンドに対する信頼の低下/2-1-2 国内安定の重要化と国際通貨への影響/2-1-3 大恐慌とイギリスの金本位制停止/2-2 1930年代の混乱と模索/2-2-1 ポンドの金兌換停止がもたらしたもの/2-2-2 「通貨圏」の不安定性/2-2-3 国際通貨の安定を妨げたもの/2-3 管理通貨制〓国際通貨の新たな「しくみ」の胎動/2-3-1 管理通貨制をもたらしたもの/2-3-2 管理通貨制下の資本主義
内容説明
国際通貨問題は、サミットやG7において毎年妥協が繰り返されているように、「福祉国家」的政策のもとでは両立困難な国民経済の安定化と国際協調によってしか維持できない不安定な管理通貨制(変動相場制)に象徴される。この宿命的不安定性は金本位制の崩壊後、世界経済の変化と発展を縦軸に、国際通貨をめぐる国民国家と世界市場のせめぎあいを横軸とする両者の絡み合いに源泉する。資本主義にとって最も解決の困難な課題である国際通貨問題を戦間期を含む国際通貨史を通して実証的に解読した現代資本主義論の新展開。
目次
序章 国際通貨の何が問題か
第1章 国際通貨ポンドの安定
第2章 過渡期としての戦間期
第3章 ブレトンウッズ協定の現実
第4章 変動相場制とその限界