感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
113
これまで読んだリルケの詩の印象とはかなり異なっていた。翻訳者によってこうも変わるのだろうか。優しい言葉遣いで、リズミカルな訳文になっている。訳者も詩人なので、自分が詩を書くときのように言葉のリズムに注意を払って、翻訳したのだろう。他の訳書にはない詩が多く含まれているのが嬉しい。「手のひら」のようにありふれた物を見つめながら、その中にある神秘と美しさを引き出す詩は、この詩人ならではと思う。先日読んだヘルダーリンのように外に視点が広がらずに、内面に沈み込んで、そこで言葉が結晶化するのがリルケだ。2016/11/02
S.Mori
28
優しい感じのリルケの詩集です。訳者はひらがなを多く使って、柔らかな言葉遣いでリルケの詩を日本語に移し変えています。その手法はリルケの繊細な感受性に合っています。自分を取り巻く全てのことを受けとめようとするこの姿勢は苦しみを伴います。それが表現されているのが「ピエタ」のような中期の詩です。この状態を乗り越えて書かれたのが「オルフォイスへのソネット」のような作品で、吹っ切れた明るさと美しさがあります。訳者はこのソネットの生き生きした言葉遣いを音楽的で美しい日本語に訳し、リルケの精神の気高さが伝わってきました。2020/10/07
三柴ゆよし
14
リルケにおいて(というよりも詩人にとっては、だろうか?)世界とはすでにそこにあるものではなく、視ることによって立ち上がってくるものだ。とはいえ「時禱詩集」あたりになると対象が大仰すぎてついていけない部分もあり、私としてはむしろ、薔薇や手のひらといった小さいものどもの内側に秘められた神秘性、官能性を剥き出しにしつつも、同時にその内部と外部が転換可能であるような視点を提示するあたりに、リルケの真骨頂があるとおもう。生野幸吉の翻訳も絶品というべき素晴らしさで、しばらくはつねに持ち歩いて読み返していくつもり。2018/06/02
こきゃり
1
序詩はすごく素敵で、ワクワク感があったけど、後は殆ど私には理解不能。途中でエロポエムみたいなのがあった。2022/09/30
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