内容説明
北欧人の精神生活を規定し支配したのは、いかなる夢、いかなる感情、いかなる思惟であったのか。『巫女の予言』の精緻な翻訳を中心に、本書が試みる原北欧的宇宙像の再構築への挑戦は研究史上稀有のものであり、巻末収録の膨大な文献も今後の研究にとってきわめて有用である。わが国最初の本格的北欧神話研究。
目次
はじめに 課題と方法
第1章 『巫女の予言』の問題(『巫女の予言』の周辺;『巫女の予言』の原詩・翻訳・注解)
第2章 『巫女の予言』の宇宙形態論(『巫女の予言』と宇宙形態論;「九つの世界」;「九つの根」;「計りの樹」;論争問題としての『巫女の予言』第2節;『巫女の予言』のコスモグラフィー再構築の試み)
第3章 『巫女の予言』の宇宙創成論(二つの宇宙創成神話;「ギンヌンガガプ」―北欧的「無」の概念;「ユミル」と「大地」創成の問題;創成の神々と人類の始祖)
付論 初期ラグナロク神話論の基本的視座―「異教的唯一神」の問題
北欧神話研究のための資料と文献