出版社内容情報
■人間以外の動物について知ることは、人間について知ることそのもの!!■
【動物園社会も少子高齢化中!】
旭山動物園を一躍日本一にした元園長が、動物のすごさを魅せる行動展示の先に辿りついた、動物のウェルビーイングとは? 老い方と死に方に執着する日本人がぜひ知っておきたい、「ただ、生きて、死ぬ」動物たちの世界。
・座布団を用意して、歯科検診を待つ協力的なオランウータン
・柵から落ちた人間の子供を抱きかかえるゴリラ
・仲間の出産を超音波でサポートするゾウの群れ
・四季を人工的につくり、ヒグマの子作りを促す
・水を怖がるスカンクの子供にプールで泳ぎを教える
■動物園ぐらし50年のベテラン獣医が伝える、裏側(バックヤード)で起きる種々のケア■
【目次】
<第1章 未来より今を生きる動物>
動物の生きる目的/生きるために食べる/食べてはいけないもの/誰の子でも自分の子/「托卵」という/命をつなげなかった反省/ゾウの群れの最小単位/ゾウの出産の砂かけ/子はかすがい/生き延びるために一夫多妻/繁栄する群れ/子だくさんとヒエラルキー/老化しないネズミ/コミュニティで育てる/無駄と遊び
<第2章 動物の老い 寿命と延命>
動物の寿命/高齢化社会/人間の余生/野生動物の認知症/動物の睡眠時間/老いと孤独/動物の最期/「死」という概念/静かに死ぬ/嫌われ者の獣医/「泣く」と「鳴く」/サケの遡上
<第3章 ケアをする動物 そして人間>
動物同士のケア/甘い関係/種を越えたケア/チンパンジーの利他行動/シカの産後ケア/障害のある動物/「異端」と「個性」/群れの中で看取り/動物園での看取りケア/「安楽殺」という選択/最高齢のカバ/自分の手の中で動物に死んでもらう/動物園の弔い
<第4章 らしさを引き出すケア>
介護する動物/笑いとケア/言葉と引き換えに失ったもの/動物園で暮らす動物のQOL/環境エンリッチメント/ヒグマに四季をつくる/飼料の栄養計算/動物に協力してもらう健康診断/動物が生き生きと暮らす環境/ボルネオの森/あえて楽をさせない/長老の知恵/?む力は生きる力そのもの/スキャフォールディング/人だけが介護をする理由
著者情報:小菅 正夫 (こすげ・まさお)
獣医師。札幌市環境局参与(札幌市円山動物園担当)、旭川市旭山動物園元園長。北海道大学客員教授。国立動物園をつくる会代表。北海道札幌市出身。北海道大学獣医学部卒業語、1973年に旭山動物園に入園。飼育係長、副園長などを経て、1995年に園長に就任。一時は閉園の危機にあった園を再建し、日本最北にして“日本一の入場者を誇る動物園”に育て上げた。2004年には「あざらし館」が日経MJ賞を受賞。2009年に同園を定年退職後、名誉園長となる。2015年には、札幌市円山動物園のアドバイザー(参与)に就任し、現在に至る。