内容説明
複言語主義のロゴスが作り出す新たな言語教育のノモス。従来「規範からの逸脱」とされてきた話しことばに、規範はあるのか。規範文法が否定され記述文法が志向されてきたあとで、なぜあえて規範を問うのか。その規範は、何を、いかに目指しうるのか。ことばの規範にいまふたたび迫る。
目次
第1部 近代ドイツにおける「国語」(「国語」形成の一断面;ドイツ語を「知的」にした官庁語の功罪―形式性、統一性、そして複合性;“自然”の諸相―近世・近代ドイツ言語論における“自然”“起源”“超越者”の関係をめぐって;アウグスト・ヴィルヘルム・シュレーゲルにおける言語の美学―リズム起源論から芸術の自然史へ;ボヘミアの「国語」とは?―ドイツ語とチェコ語の抗争の記録;書体の「ノモス」―「ラテン語」と「ドイツ語」)
第2部 現代におけるノモスの揺らぎ(ドイツ語圏の言語政策と実際―複雑化する標準変種の記述とノモスの揺らぎ;ルクセンブルクの言語政策―多言語社会とドイツ語;EUの多言語政策と欧州の複言語主義;「逸脱」から「使用標準」へ―話しことばの規則性の体系化をめぐって;ピュシスとノモスの間の「うつし」;逸脱のピュシス―文法規則の逸脱に見られる自然性)