内容説明
本書は、国際金融論・国際マクロ経済学の分野において1960年代から今日に至るまで通説としての地位を保持し続けているロバート・トリフィンの流動性ジレンマ論と、同じく通説としての地位を1960年代のロバート・マンデルから今日のロナルド・マッキンノンに至るまで保持し続けているredundancy theory(「n番目の国」としての基軸通貨国「国際収支受身」論)とを批判し、この批判と表裏一体をなす「銀行原理的な基軸通貨本位制」という新しい国際通貨制度の提唱を行うことを目的として書かれた書物である。
目次
第1部 基本的な思考の枠組(国際収支表および対外貸借対照表の基本構造;基軸通貨国の「最終的国際収支」定義をめぐる通貨原理と銀行原理)
第2部 銀行原理的視点の重要性(流動性ジレンマ論の問題点と銀行原理の妥当性―トリフィンへの反論;基軸通貨国の満期変換機能とシーニョリッジ問題)
第3部 21世紀のための国際通貨制度改革案(「銀行原理的な基軸通貨本位制」のワーキング・メカニズム;「一番目の国」としての基軸通貨国の使命―マンデルおよびマッキンノンへの反論)
付論 「複数基軸通貨金為替本位制」論争について―銀行原理的視点からの発言