内容説明
本書はこの歌人の徹底的な追求の書である。その為には啄木全集のすみずみまでを利用した綜合的研究を実行する。本書は啄木に関する在来の定説をすべて否定するために書かれたものである。自己に忠実に生きた結果、封建的な明治の社会で孤立し、あまつさえ病を得、体力の限界の故に力つきて倒れた啄木を最後まで支えた存在を明確にしようというのがそもそも本書の構想である。
目次
第1章 啄木のただ一人の友(松岡蕗堂(政之助)
啄木のもう一人の母 ほか)
第2章 明治四十一年、四十二年の啄木
(小説『菊池君』より;芸妓「小奴」と「大奴」 ほか)
第3章 『一握の砂』成立の謎
第4章 啄木達の詩歌(その二)(「われ」と「我」;詩集『呼子と口笛』より ほか)