出版社内容情報
演劇教育の意義から、題材選び、本番に至るまで、演劇を成功させる鉄則を解説。学級の実情に合わせた脚本作りのポイントも紹介する。 学習発表会や文化祭での演劇が、子どもの成長を促す──演劇教育の意義から、題材選び、本番中の細部に至るまで、演劇を成功させる「10の鉄則」と「67のコツ」を解説。また「いのち」と「平和」について考える脚本8作品を収録。学級の実情に合わせた脚本作りのポイントも紹介する。
はじめに
第1部 心がふるえる演劇を創ろう(演劇教育を行う意義)
子どもたちとともに演劇を創るってすばらしい
? 作品がもつテーマについて考えを深める
? 表現力を総合的に学ぶ
? 自分の殻を破る
? 集団としての成功体験をつむ
特別支援を必要とする児童とともに
肢体不自由の児童を中心に据える
不登校などの児童・生徒も「何か」で参加する
事前の準備と練習日程モデル
事前の準備
練習開始後
第2部 演劇を成功させる10の鉄則と67のコツ
鉄則1(テーマについて)「いのち」「平和」「人権」などのテーマをもった劇をする
──ドタバタ劇からは感動は生まれない
? 学習発表会・文化祭では、劇をすることを4月から公言しておく
──最高の思い出になる、□□学校史上最高の劇をしよう!
? ぶれない姿勢で「いのち」、「平和」、「人権」などのテーマを提案する
──おちゃらけた劇はしないよ。心にしみる劇をしよう!
? 希望のわく展開の脚本を用意する
──やっぱり、人間ってすばらしいね!
? いのち・平和・人権の教育の延長に発表会・文化祭を位置づける
──まずはやってみることが大切
鉄則2(脚本について)学級に最適な脚本ができあがるまで、修正の手間を惜しまない
──ひとつひとつの台詞を何度も吟味する
? 上演時間、人数、男女比、方言等をふまえて脚本を修正する
──学級の全員が活躍できるように台詞を振り分けよう
? 台本は編集しやすい横書きで書く
──本書を上手に使ってください
? 子どもに言わせてみて手直しする手間を惜しまない
──こんな台詞を加えたいと思ったら提案して!
? 紙ファイルを用意して台本を大切にさせる
──劇が終わるまで台本を大切にしてしっかり読もう!
鉄則3(脚本の読み合わせについて)全ての台詞を全員が覚えるまでしっかり読ませる
──心情を読み取る力と表現力をきたえる
? 最初の1週間は役を決めずに繰り返し読む
──読んで読んで読みまくろう!
? 物語の基本的な流れを確認する
──その後、主人公はどうなったの?
? 場面ごとに何を感じるかを尋ねる
──今の場面、どう思った?
? 登場人物全員の気持ちを台詞ごとに確認する
──この台詞を言った登場人物や周りの人はどんな気持ち?
? 自分なりの台詞の言い回しをやらせてみる
──まずは、自分が思ったとおりに言ってみよう!
※尋ねられたら、すぐに何かを答える習慣を身につけさせておこう
鉄則4(配役について)全ての子どもにチャンスを与える
──「全員が主役」という気持ちを共有する
?「主役」「脇役」の概念を捨てさせる
──全員が主役です!
? すぐに配役を決定しない。練習しながら「はまり役」を見つけていく
──□□君はこの役にぴったりだなあ!
? 自分がどの役に合っているか、どの役が誰に合っているかを考えさせる
──みんなで劇を成功させるために、みんなで配役を考えよう!
? やる気を重視するが、やる気だけでは決めない
──やりたい役があったらしっかり練習しておいで!
? 最後は教師の責任と決断で配役を決定する
──□□さんはこの点がすごくいいね。この役は□□さんでいこう!
? 誰でもすべての役に交代できるように練習する
──いつでもどの役でも交代できるように練習しよう!
鉄則5(発声について)大きな声を出させることに最大の力を注ぐ
──指導の半分は、大きな声を出させること
? 毎日発声練習から始める
──先生よりも大きい声を出してみよう!
? 専門的な発声法にとらわれず、とにかく最大の声を出す
──生まれてから今までで最大の声を出してみよう!
? 言い慣れているあいさつなどを大声で言う練習から始める
──最大の声であいさつしてみよう!
? 口を大きく開けてのどを開く
──うなぎを丸のみしたようにのどを開いて!
? 息をしっかり吸って、しっかりはき出しながら声を出す
──深呼吸しながら、大きな声を出してみよう!
? 体を共鳴させる
──太鼓のように胸やお腹を膨らませたまま大きな声を出してみよう!
? 体育館の響きを意識させる
──体育館も太鼓と一緒なんだ。しっかり響かせよう!
? 観客を意識しながら大きな声を出す
──体育館の一番後ろにいるおばあちゃんに声を届けてあげようよ!
? 客席の方を向いて台詞を言う
──のどの奥をお客さんに見せながら声を出そう!
鉄則6(感情移入と演技について)指導者の理想とする演技を要求し続ける
──子どもの力をあなどらない
? 妥協しない姿勢を見せ続ける
──やればできる。できるまでやる!
? 台詞を言うのではなく感情に台詞をくっつける
──その台詞を言葉なしの声・表情・体で表現してみよう!
? 笑い声、怒り声、泣き声、うめき声に台詞を乗せる
──本当に笑いなさい! 泣きなさい! その声に台詞を乗せなさい!
? 最も適した台詞の速さを意識させる
──最も適したスピードを考えてから言ってみよう!
? 失敗しやすい台詞は、失敗しない速さまで遅くして言う
──「かむ」のは速すぎる証拠!
? 低学年でも語尾が強くなるなど不自然な言い方をさせない
──「ぼくはあ」なんて普通は言いません!
? 台詞のどこに強調点があるかを常に意識させる
──ただ抑揚をつければいいわけではない!
? BGMに台詞を乗せるように言わせる
──メロディーに台詞を気持ちよく乗せていこう!
? 教師が迫真の演技を見せる
──先生がやってみるよ。これ以上の演技をしてよ!
鉄則7 (舞台上のルールについて)舞台上の全員がその場面の主役と心得る
──台詞のない時に何をしているかが劇のクオリティを左右する
? 台詞のない時の動きや表情を自分の台本に書きこみさせる
──台詞のない時は待ってる時間ではありません!
? ステージの前3分の1で演技する
──しっかり前に出て演技しよう!
? 登場人物が前から見て重ならない
──かぶらない! 「かくれない、かくさない!」をみんなで気をつけよう!
? 均等に立たない
──豆を転がしたように、自然な散らばり方をしよう!
? 舞台上では前または斜め前を向いているのが基本
──台詞の前後は相手に視線を合わせ、話している間はゆっくり前を向こう!
? 足音を立てない
──無用な音は劇の邪魔です!
鉄則8(舞台袖のルールについて)舞台袖ですべきことをきちんと指導しておく
──舞台袖の空気が演劇の成否を決める
? 居場所を決めておく
──自分の場所から友だちを心の中で応援しよう!
? 完全な静寂をつくる
──全く音を出さない時間を1分間つくってみよう!
? 自分の荷物は各自のかご等に入れ、置き場所も決めておく
──衣装や小道具は自分で責任を持って管理しよう!
? 袖の幕を揺らさない
──幕にあたらないように出たり入ったりしよう!
? 登場人物は暗転2秒後に歩いて移動開始
──物語には余韻が大切です!
? 大道具を静かに素速くセットできるように練習をくり返す
──大道具を置く様子も演技のうちです!
? 小型のホワイトボード・懐中電灯を用意しておく
──いざというときだけ使うこと!
? 舞台袖(左・右)のリーダーを決めておく
──何かあった時にはリーダーを中心にのりきれ!
鉄則9(大道具・小道具・衣装・BGM・照明・背景について)時間をかけずに演出効果を高める
──効果的な演出は子どものやる気につながる
? 大道具・小道具はできるだけ本物・ある物を利用する
──楽しみながら用意しましょう
? 衣装は保護者にあらかじめ協力を依頼しておく
──雰囲気が出ていたらOK。凝らなくて大丈夫です
? プロジェクターを利用して場面転換する
──背景画を手描きする時間を別なことに使いましょう
? BGMになりそうな曲をできるだけたくさん録音しておく
──「この曲はいい」と思ったらすぐチェック
? BGM・効果音・照明は綿密に練習しておく
──失敗しやすいものです
鉄則10(本番前後の指導について)本番へ向けて徹底的に気分を高める
──緊張こそ力を発揮させるバネ
? 予行演習までにすべての準備を完了させる
──予行演習は1回目の本番です
? 自分の演技をビデオでチェックさせる
──本当の本番までにまだまだよくなるぞ!
? 前日練習は個人も全体もほめて終わる
──よくここまでやりきった。絶対に最高の演技をしよう!
? 誓いの言葉を作文に書いて学級通信に載せる
──ここまでがんばったのだから家族みんなに来てもらおう!
? 衣装・小道具など忘れ物がないかチェックさせる
──自分が使う衣装と小道具をもう一度確認しよう!
? 他学年の発表を静かに見ながら集中させる
──大きな声で、思いっきり演技する……そのことに意識を集中させよう!
? 直前のかけ声で最後の発声練習をして気合いを入れる
──最後に思いっきり声を出して、気合いを入れよう!
? 緊張感を前向きにとらえさせる
──緊張しているのは頭と体ががんばろうとしている証拠だ!
? 演劇にミスはつきものであることをあらかじめ理解させておく
──ミスはみんなでカバーして、気づかせないようにしよう!
? 絶対成功するという暗示にかける
──みんないい顔だ。最後まで気を抜かなかったら絶対成功する!
? 終了後、しっかりほめてから、有頂天にならないように指導する
──これからもずっと考えていこう、ずっと成長していこう!
第3部 「いのち」と「平和」について考える脚本8作品
脚本集のためのまえがき
脚本利用上の留意点
『おじいさんの時計──ありがとう共和国とこのやろう王国の物語』(小学校低学年向け)
『バロルのなみだ』(小学校低・中学年以上向け)
『シムクガマの奇跡』(小学校中・高学年、中学生以上向け)
『釜石の奇跡』(小学校中・高学年、中学生以上向け)
『輝けいのち──ヒロシマの地下室から』(小学校高学年・中学生以上向け)
『流転』(小学校高学年・中学生以上向け)
『母の祈り──ある満蒙開拓団家族の物語』(小学校高学年・中学生以上向け)
『あかね雲の空の下より──疎開児童たちの綴った手紙』(小学校高学年向け)
あとがき
吾郷 修司[アゴウ シュウジ]
著・文・その他
内容説明
今年こそ発表会・文化祭を大成功させる!!演劇を成功させる10の鉄則と67のコツを徹底解説。「いのち」と「平和」について考える脚本8作品所収!
目次
第1部 心がふるえる演劇を創ろう(演劇教育を行う意義)(子どもたちとともに演劇を創るってすばらしい;特別支援を必要とする児童とともに;肢体不自由の児童を中心に据える ほか)
第2部 演劇を成功させる10の鉄則と67のコツ((テーマについて)「いのち」「平和」「人権」などのテーマをもった劇をする―ドタバタ劇からは感動は生まれない
(脚本について)学級に最適な脚本ができあがるまで、修正の手間を惜しまない―ひとつひとつの台詞を何度も吟味する
(脚本の読み合わせについて)全ての台詞を全員が覚えるまでしっかり読ませる―心情を読み取る力と表現力をきたえる ほか)
第3部 「いのち」と「平和」について考える脚本8作品(『おじいさんの時計―ありがとう共和国とこのやろう王国の物語』(小学校低学年向け)
『バロルのなみだ』(小学校低・中学年以上向け)
『シムクガマの奇跡』(小学校中・高学年、中学生以上向け) ほか)
著者等紹介
吾郷修司[アゴウシュウジ]
1967年1月生まれ。岡山大学教育学部を卒業後、岡山県北で中学校・小学校に勤務。真庭市立湯原小学校教諭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。