出版社内容情報
原水禁運動の父のような存在で、世界中から敬愛されてきた森瀧市郎。核戦争が迫る危機的状況にあって、何を考え、何をしてきたのか。
敗戦から70年は、ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下から70年。また、原水爆禁止日本国民会議が結成されてから50周年にもなります。原水爆禁止運動の「父」のような存在で、凛とした風貌は、世界中から敬愛されてきました。核戦争がせまる危機的状況にあって、何を考え、何をしてきたのか─。
序 言 世代にわたるたたかいを
ここに哲学者がいる(大江健三郎)
第1章 核絶対否定への歩み
原発の贈り物
平和利用博
被団協の宣言
タペストリー
ソ連の核実験
核なき未来
科学者の良心
反原発の理論
欧州の運動
太平洋の叫び
生存のために
核文明批判
第2章 反核・被爆者運動の歩みと私
核戦争の危機と世界民衆の連帯
被爆三十周年を迎えて──核絶対否定
被爆三十周年原水禁大会基調演説
被爆三十一周年を迎えて──「援護法」・「反原発」
被爆三十二周年を迎えて──再び「援護法」・「反原発」
「座り込み十年」の「前史」と理念
被爆者運動の歩みと私
四国電力伊方原発訴訟における原告側「準備書面(一二)」の意味するもの
第3章 愛の文明と慈の文化
愛の文明
慈の文化
第4章 問われている日本の反核運動
被爆四十周年に思うこと──若い人に期待する
二学生の死
最後の生き証人・原爆小頭児
原爆孤児と人間愛
被爆者から見たABCC問題
第5章 さまざまな人との出会い
シュバイツァー博士を訪れて
ラッセル博士と会見
ローマ法王「いのちのためのアピール」
ノエルベーカー卿とヒロシマ
終 章 ふるさとと私
ふるさとと私
水棹のむ背の如く──解説に替えて(森瀧春子)
生きること、哲学としての核絶対否定(藤本泰成)
年 表
初出一覧
【著者紹介】
森瀧 市郎
1901年広島県生まれ。京都帝国大学卒。広島で被爆。広島大学教授。54年原水爆禁止広島県協議会初代事務局長となり、55年の第1回原水禁世界大会の開催にむけ尽力、被爆者援護法制定をめざして活動。日本被爆者団体協議会理事長もつとめた。91年原水爆禁止日本国民会議議長。1994年死去。
内容説明
核時代の扉を開いたヒロシマ・ナガサキ―ビキニ事件・JCO臨界事故そして福島原発事故と5度にわたる核の惨禍に見舞われた。戦後最大の国民的運動の原水爆禁止運動は、核兵器廃絶や被爆者への援護の運動にとどまらず、「核」を取りまくさまざまな課題を問い、平和を求める大きな思想と運動となった。「核」からの脱却が切に求められている、いまこの時にこそ森瀧市郎(初代原水禁議長)の理念「核絶対否定」「核と人類は共存できない」に再び光をあてる。
目次
第1章 核絶対否定への歩み
第2章 反核・被爆者運動の歩みと私
第3章 愛の文明と慈の文化
第4章 問われている日本の反核運動
第5章 さまざまな人との出会い
終章 ふるさとと私