悲しいときは、思いっきり泣けばいい

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  • サイズ B6判/ページ数 171p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784822814991
  • NDC分類 493.7
  • Cコード C0095

出版社内容情報

3.11以来、被災者と支援する人びとの惨事ストレスケアや、心の電話相談を行ってきた精神科医が、しんどさを抱える人々に贈る。

誰でもストレスを受けるのは当たり前、悲しいときは泣けばいい──。3.11以来、被災者とそれを支援する人びとの惨事ストレスケアや、こころの電話相談を行ってきた精神科医が、すべての「しんどさ」を抱える人びとに贈る。こうすれば、人はもっとラクに生きられる。

Prologue
   しんどいときには弱音を吐いたっていい
   ストレスを感じるのはあたりまえ
   いつもと違う自分を認める
   日にち薬と時間薬と
   時間をかけて適切なケアを
   誰からも評価されない
   サイコロジカル・ファースト・エイド(PFA)
   役に立たない焦り
   果てしない業務
   一方的な批判や非難
   橋下路線狙う首長
   継続的なケア体制を
 
Chapter 1 生きる処方箋
   『重い障害を生きるということ』
   二極化する診察室
   「人はそう思ってしまうもの」と考える
   「成功している」ような人も
   生の現場があることの幸せ
   後悔のない人生などない
   合格点は六〇点

Chapter2 「被災地外」について考える
   過覚醒と躁的防衛
   解離と世界没落体験
   間接的なPTSD
   共感疲労とサバイバーズ・ギルト
   これらの後遺症としての??震災うつ??
   放射能恐怖と亀裂

Chapter3 悲しむのは悪いことじゃない
   1 なぜいま、悲しみを語るか 
     大きな喪失と日々の喪失
     ??アベノミクス景気?∞?成長戦略?≠フ陰で
     悲しみを共有する
   2 「悲嘆(grief)」とは何か
     喪失の対象は人により異なる
     正常と病的の境目 
     DSM改訂の波紋
   3 「悲嘆」の研究
     フロイトとリンデマン
     「悲しみ」や「死」の封印(否認)の時代
     キューブラー=ロス「死ぬ瞬間」
     アルフォンス・デーケン「死生学」
   4 悲嘆研究の限界
     悲しみの普遍化
     小林秀雄、母の死と蛍
     上野正彦「死はナッシング」ではない
     悲嘆は科学や研究とはなじまない
     悲嘆は医療やケアにもなじまない
     デブリーフィングからPFAへ
     悲嘆は個別の現象
     精神医療の限界
     喪失体験の共有
     山形孝夫「死者は生きている」
     悲嘆のない世界

Epilogue いのちの選別の時代に
   単身高齢者時代の到来
   遺伝子検査ビジネス
   デザイナーベビー

おわりに

【著者紹介】
香山 リカ
 1960年北海道生まれ。東京医科大卒。精神科医・立教大学現代心理学部映像身体学科教授。豊富な臨床経験を生かして、現代人の心の問題を中心にさまざまなメディアで発言を続けている。専門は精神病理学。
 NHKラジオ「香山リカのココロの美容液」でパーソナリティをつとめる。北海道新聞(ふわっとライフ)、中日新聞(香山リカのハート・ナビ)、 毎日新聞(ココロの万華鏡)、創(「こころの時代」解体新書)連載。
 著書に『できることを少しずつ 香山リカの目』(毎日新聞社)『女は男のどこを見抜くべきか』(集英社)『若者のホンネ』(朝日新聞出版)『〈私〉の愛国心』(ちくま新書)『プチナショナリズム症候群』(中公新書ラクレ)『チルドレンな日本』(佐高信との共著)『生き抜くこと』(雨宮処凛との共著)『本を読むってけっこういいかも』(以上、七つ森書館)ほか、多数。

内容説明

精神科医・香山リカの生きる処方箋。しんどさを抱えるすべての人へ。

目次

Prologue しんどいときには弱音を吐いたっていい
1 誰からも評価されない
2 生きる処方箋
3 「被災地外」について考える
4 悲しむのは悪いことじゃない
Epilogue いのちの選別の時代に

著者等紹介

香山リカ[カヤマリカ]
1960年北海道生まれ。東京医科大卒。精神科医。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。豊富な臨床経験を生かして、現代人の心の問題を中心にさまざまなメディアで発言を続けている。専門は精神病理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

寛生

60
【図書館】サラッと読めたが余韻に浸るような読了感。73頁から始まる香山自身のナラティブがとても印象的。その後、「誰にでも絶対に後悔はあるし、後悔こそがその人の人格に陰日向をつけ、その人らしさを作っているのだと・・つくづく感じる。」とそっと付け加えている所が素晴しい。アベノミクスのレトリックに要注意しろ!と言っている所も、格別それが独創性をもった精神分析的解釈ではないとは想うが、僕も「成長戦略」に乗らないほうが精神的なバランスの為にはいいと想う。本書のクライマックスは山形孝夫の死者論を香山が議論している所。2015/04/13

ヒデミン@もも

28
この本を読んでいると自分も鬱なのかなぁって思えてくる。 震災を含んだ様々な喪失感からの立ち直りなど 至極真面目な内容。なのに一番心に残ったのは年初め精神科医は多忙。年末年始にダンナの実家に行きストレスを溜めた主婦が何人も駆け込んでくるからって。見方を変える事が大切。2014/05/17

百太

12
「花は咲く」の説明に納得です。阪神の子供を亡くした母親のレポートは読めてよかった。震災時 行政の制度のせいだと思うが、公務員の自治体職員や学校現場の教職員などの方々が 頼りにならず役立たずに見えて・・気の毒だった。2015/01/15

精看探求士

4
東日本大震災後の社会をメンタルヘルスの観点から説明してくれる。被災直後の方に過剰な心のケアは、無効なばかりか却って傷をえぐられる体験になりかねないという。衣食住の支援が基本であり、PFAと呼ぶらしい。勿論、うつ症状が出始めている方には専門治療が必要だ。又、被災者を支援する人の支援が心のケアとしては重要だと力説。華々しい自衛隊よりも地味ながら慣れない地で激務に追われる公務員の心労が問題。被災者同士が、悲しみの程度や対応を比べ合うことによっても傷ついている。後半は、悲嘆と死後の認識。理屈ではないよな。2015/06/16

しまちゃん

2
東日本大震災で大きなストレスを感じているのは、被災された方たちの他に、被災者のために働いている人たちもいます。 特に役所などで働く自治体職員や学校現場の教職員などの方々もいろいろな意味でストレスを感じています。けれども、そのような方々には世間の目が届かずに大変なことになっています。作者は、そこにスポットライトを当てて、「悲しいときは、思いっきり泣けばいい」とさりげなく、救いの手を差し伸べています。2014/08/07

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