出版社内容情報
ビッグデータの登場とその利活用が話題である。「医療ビッグデータ」に焦点を当て、医療を含めどのような社会変革を促すかを展望。
医療の世界でも、2011年頃を境にビッグデータ(bigdata)関連の医学論文が急激に増えてきた。論文の内容をみれば“Publichealth”関連が最も多く、これに続くのが“Healthcare”に関するものだ。とはいえ、ビッグデータの実態はと問えば、まだ誰も確たる答えは持っていないのではないだろうか。
いわゆるビッグデータは現時点において、ある事象と別の事象の間にある相関関係をあぶり出してくれる。これまでわからなかった相関関係が判明することにより、人類は大きな恩恵を受けるだろう。
けれども医学の世界では、何かの相関関係が明らかになったからといって、それに飛びつくわけにはいかない。医療の現場においては、1つの意思決定が人の命を左右しかねないのだ。データは、あくまでも意思決定の際の1つの判断材料にすぎない。ましてや表面上の相関関係だけに目を奪われ、その背景に潜む因果関係を見過ごしてしまえば、取り返しの付かないミスを犯す恐れがある。
では、医療関係者はビッグデータとどのように向きあえばよいのだろうか。これが本書を貫く問題意識である。
本書では、医療におけるビッグデータの意義にフォーカスし、医療ビッグデータが産み出す価値についての考察をまとめた。本書が、日本における医療ビッグデータ活用の嚆矢となれば幸いである。
~「はじめに」より抜粋~
はじめに
第1章 データ、情報、知識、それぞれの持つ意味
「ビッグデータ」に向き合うために
データ解析から情報が生まれる
データ解釈の方向性とリスク
不確実性を減らすことが情報の役割
正しくデータ解析をするために注意すべきこと
知識とは情報が構造化された総体
第2章 ビッグデータとは何か
爆発的に増え続ける世界のデータ量
ビッグデータ、その正体は「構造化」されていない多種多様なデータ
ビッグデータの特長 ― 4つのV
検索データが予測するインフルエンザの流行
ビッグデータは「因果関係を問わず」ひたすら予測する
医療におけるビッグデータ ― 因果関係は不要か
全量解析が変える世の中の見え方
ビッグデータが実現する医療
真に意義のある医療ビッグデータに向けて ― 個人識別番号の活用
未来の情報を確実に知ることは永久に不可能。
過去から未来を予測するのは可能
第3章 医療ビッグデータを考える
DPCは、医療機関の実態を映し出すベンチマーキングのツール
東京医科歯科大学大学院 医療政策情報学分野教授 伏見清秀 氏
臨床データと他のビッグデータとの連携で、患者視点に基づく治療を
東京大学大学院医学系研究科 医療品質評価学講座教授 宮田裕章 氏
医療ビッグデータと臨床疫学が拓く新しい医学研究の世界
京都大学大学院 医学研究科薬剤疫学教授 川上浩司 氏
医療ビッグデータ+ゲノム解析でわかること
京都大学大学院 医学研究科附属ゲノム医学センター長 松田文彦 氏
第4章 海外の医療ビッグデータ活用事例
医療ビッグデータ活用においては“周回遅れ”の日本
DB構築と民間活用が進む海外事例
欧米各国のDB整備状況(米国、スウェーデン、英国、デンマーク、オランダ)
アジア各国の医療ビッグデータ整備状況
海外では医療ビッグデータが意思決定に活用され、患者や社会全体の役に立っている
医療ビッグデータ活用により、医療費の適正化をめざす
患者目線で、より質の高い治療法を特定~米国CERのケース
医療ビッグデータから知見を創出できる人材育成の必要性
第5章 有識者に聞く医療ビッグデータ構築・活用の課題
京都大学大学院医学研究科 客員教授 本庶佑 氏
慶應義塾大学薬学部 医薬品開発規制科学講座教授 黒川達夫 氏
国立情報学研究所所長 東京大学教授 喜連川優 氏
アイ・エム・エス・ジャパン 代表取締役社長 湊方彦 氏
第6章 医療ビッグデータ。その価値を最大化するために
医療ビッグデータがもたらす恩恵
整備が進む医療系データベース
国民共通IDの医療利用に向けて
急務となる「ヒューマン・データサイエンティスト」育成
【著者紹介】
京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻健康情報分野教授
内容説明
ビッグデータとは何か、医療ビッグデータが実現する未来とは。各分野の第一人者に聞く活用における課題、海外事例も紹介。
目次
第1章 データ、情報、知識、それぞれの持つ意味
第2章 ビッグデータとは何か
第3章 医療ビッグデータを考える
第4章 海外の医療ビッグデータ活用事例
第5章 有識者に聞く医療ビッグデータ構築・活用の課題
第6章 医療ビッグデータ。その価値を最大化するために
著者等紹介
中山健夫[ナカヤマタケオ]
京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野教授。1961年生まれ。1987年東京医科歯科大学医学部卒業。1989年同大学難治疾患研究所疫学部門助手。1998年米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)フェロー。1999年国立がんセンター研究所がん情報研究部室長。2000年京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻助教授。2006年より現職。2010年より同副専攻長。2005年日本疫学会奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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京都と医療と人権の本棚
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