出版社内容情報
アジアで苦戦する日本企業が多い中、中小企業 伊藤製作所が目を見張る実績を残している。アジアで輝くニッポンの親父的経営を語る。
従業員100人の金型工場の社長がアジアで社員の心を100%掴んだ。
三重県四日市市の伊藤製作所は、金型メーカーとして精密加工技術を磨いてきました。国内の従業員は100人ほどでありながら、インドネシアとフィリピンに拠点を持っています。1995年にフィリピンに進出し、そこで伊藤澄夫社長は社員を大切にする日本的経営を貫き、現地社員と深い信頼関係を築きました。社員がほとんど辞めないため技術移転が進み、その人材を2013年に設立したインドネシア工場に派遣するという国際人事に結び付けました。伊藤社長は、中国や韓国を避け、親日国に絞って進出してきました。その結果が、こうした長期的に安定した経営につながっているのです。
モノ作り中小企業にとってみれば、日本政府の外交方針や政策などは企業を守り存続するうえでは大きなハンディとなっています。こうした点から見て、海外事情に詳しい伊藤社長が、税制などについても苦言を呈します。日本は、先端技術を移転する先は親日国に絞るべきだ。「日本のモノ作り技術を外交カードとして使ってほしい」とも訴えます。
海外進出で苦労する企業が多い中、社員を大切にするという日本的な経営スタイルで成功した伊藤製作所。実例に基づく、アジア進出の参考書としてお読みください。
序章 プロローグに代えて
●日本がアジアから信頼と尊敬を集める理由
●これでいいのかニッポン
●国際感覚の不足は克服できるか
海外の出来事には無関心の日本人/安保法案は是か非か/誰も日本を助けてくれない
第1章 日本の未来を考える
●日本の特技であるモノづくりの復活
●日本を守り日本を救うのは何か
●世界のセレブを温泉街に集める
●日本の金型は世界一?
無責任な大本営発表を他山の石に
●日本の「モノづくり」はピカピカの外交カード
第2章 インドネシアで日本の親父力経営がモテるワケ
●インドネシア金型工業会で講演
●断り続けた合弁設立
●フィリピン人技術者を派遣させてもらいたい
●わずか2年で高度な金型を50型製造してしまった
●イトー・セイサクショ・アルマダの社員たち
●親日国だから良かった
第3章 フィリピンで貫いた日本的経営
●タイ進出予定が急遽フィリピンへ
●ASEANで2番目の大国の実力
●フィリピンに進出
大番頭 ローズマリー・アンドリオン/フィリピンの社員はインドネシアでは大先生/
フィリピンの先生は日本人/日本の従業員がフィリピンの大株主/
教育で現地社員を魅了/2003年6月の全体朝礼
●フィリピンで順送り金型の輸出基地を建設
●終戦直後、最大の反日国家はフィリピンだった
●現地に駐在する社員が手に入れるもの
第4章 父から引き継いだ経営哲学
●私と親父
鍛冶屋の息子は高卒で十分/大学卒業↓就職取り消し↓編入学/頑固親父の会社へ
●親父は技術の流失を予知していた
●順送り金型が経営の柱に
●顧客からは見えないプレス加工の本当の魅力
第5章 儲かる仕組みには3つの要因
●儲かる仕組みとしていかに仕事を楽しみ、楽しませるか
【要因その1】 社員を大切にする
社員の褒め方、..り方/リーマン・ショック後の朝礼で/女性社員に囲まれる料理教室/
手作りの味噌汁で社員をもてなす/イトーマンは温泉が大好き/
絶品食材を社員にいつもプレゼント/海外出張日の前日には料理三昧
【要因その2】 他社の追随を許さない新技術の開発
新技術の開発こそ力
【要因その3】 常識と逆の方向に進む設備力
異常に多数のプレス機を導入/経営は努力以上に運が大切/
金型の段取り替えをしないもう1つのメリット
第6章 中小企業こそ海外へ出でよ
●1960年代より海外事情を取得できた幸運
●同じ中国系と言っても大違い
●今後どの国に進出するべきか
●モノづくり立国ニッポンだから海外へ
●アジアの中小企業の管理職は語学に堪能
●オンリーワンの技術は国内に温存
●中小企業にこそ必要な海外戦略
●現地調達の実態
金型技術の流出は海外のライバル企業に大きなメリット/顧客もまたさまざま
●海外進出のメリットとデメリット
第7章 親日国と反日国、いずこを選ぶ
【親日国家】 トルコ
【親日国家】 ベトナム
【親日国家】 インド
【親日国家】 タイ
【親日国家】 困ったことも多いインドネシア
【反日国家】 中国
中国が内心では日本を必要とする理由/中国国営メディアの発言/アジアインフラ投資銀行設立の裏側
【反日国家】 韓国
国益と国際感覚/予期せぬオファー/韓国人の考える″日韓友好.は日本人には理解できない
●韓国製造業に急ブレーキかけた朴大統領
韓国製造業の弱み/李元大統領と朴大統領の誤算
<COLUMN>
●韓国がノーベル賞を取得できない4つの理由
【理由その1】 言語の問題
【理由その2】 研究開発費の予算不足
【理由その3】 要素研究データが不足
【理由その4】 モノづくり技術の歴史的弱み
第8章 日本政府への要望と政治の貧困
●国家の税収を大きく減らす不思議な税法 後継者の相続税
優良企業の跡取りでも後継したくない理由/しっかり者の三代目も多い/
月200万円もの給与が必要になる/相続税がなぜ税収を激減させているのか/
優良企業の現状を知ることが税収増に
●バラマキに日本の将来を案じる
●目に余る無駄遣い
●為替変動と失われた20年
●法制度の抜本的改正が日本の未来を変える
●格差と最低賃金
●政策失敗のツケを企業に押し付けていないか
●国家の転覆と企業の海外進出
対談 橋本久義 政策研究大学院大学客員・名誉教授 × 伊藤澄夫
本書と伊藤製作所から学ぶこと 滋賀大学 弘中史子教授
あとがき
目次
序章 プロローグに代えて
第1章 日本の未来を考える
第2章 インドネシアで日本の親父力経営がモテるワケ
第3章 フィリピンで貫いた日本的経営
第4章 父から引き継いだ経営哲学
第5章 儲かる仕組みには3つの要因
第6章 中小企業こそ海外へ出でよ
第7章 親日国と反日国、いずこを選ぶ
第8章 日本政府への要望と政治の貧困
対談 橋本久義 政策研究大学院大学客員・名誉教授×伊藤澄夫
著者等紹介
伊藤澄夫[イトウスミオ]
1942年6月4日生まれ。1961年三重県立四日市商業高等学校卒業。1965年3月立命館大学経営学部卒業。1965年4月(株)伊藤製作所入社。1968年9月名城大学理工学部(2部・夜間)4年中退。1986年6月(株)伊藤製作所社長。(社)日本金型工業会国際委員長副会長歴任。中京大学大学院ビジネスイノベイション研究科客員教授。国立ソウル科学技術大学校金型設計科名誉教授。神戸大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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