出版社内容情報
著者が開発した生産シミュレーション・システムについて、その概念と内容を解説
インダストリー4.0やインダストリーインターネットに翻弄される必要はない
工場の製造現場を見ることが好きな経営者は多い。しかし現場の「今」は分かっても、それが本当にベストのものなのかどうか、市場やサプライチェーンの状況が変わってもベストであり続けるのかどうか、といったことまで読み取るのは難しい。
現実の現場に加えて、コンピューターの中に構築した現場の精緻なモデルを見ることで、将来にわたってその現場の実力を把握することが「シミュレーション統合生産(SIM)」の目的である。単にコンピューターを通して現場を見るだけでなく、さまざまな運用方法におけるラインの挙動をシミュレーションし、最適なものを見つけることで、よりよい経営に結び付ける考え方だ。
SIMのベースになる「生産モデル」では、非常に多くの情報を扱う。IoT(もののインターネット)の進展によってさまざまな装置からの情報がインターネット経由で集まるようになっており、さらにクラウド上の強大な計算資源を使って、何種類ものシミュレーションを並行して実行し、もっとも結果のよいものを選ぶ、といった処理も現実的なコストで可能になってきた。
Industry 4.0、Industrial Internetといった最近の動向も、ITによるものづくり強化という点でシミュレーション統合生産の推進を後押しするものである。しかし著者は、日本はそれらの真似をしていればよいわけではない、と主張する。もともとの強みである垂直統合におけるオペレーション力をさらに強化するためにこそ、ITの力を役立てるべきである。
この考えに基づいて著者は生産シミュレーション・システムを開発。その概念と内容を解説するとともに、システムを実際に導入した5社の事例も掲載。ものづくりとITに強い国内の論客5人との対談も、大変興味深いものになっている。
【第1章】変容する世界と生産戦略
【第2章】希求すべき「経験・モデル・コンピューティング」
【第3章】シミュレーション統合生産SIM
【第4章】シミュレーションと生産系業務の革新
【第5章】SIMが実現するものづくりの革新
Case Study〔1〕製品設計と生産システム刷新
Case Study〔2〕製品設計変更とMBOMの構築
Case Study〔3〕自動化機器の導入効果検証
Case Study〔4〕工場全体の整流化、在庫削減
Case Study〔5〕標準化戦略と中量産方式
Case Study〔6〕グローバル生産戦略
Case Study〔7〕海外工場での生産準備
Case Study〔8〕統合会社での製販在庫整流化
【第6章】英知の醸成に向けて
【第7章】賢者との対話 ~プロフェッショナルの知とデジタル・エンジニアリングの協創
関ものづくり研究所 関 伸一氏
ラティス・テクノロジー 代表取締役社長 鳥谷浩志氏
O2 代表取締役社長 松本晋一氏
一橋大学 イノベーション研究センター長 延岡健太郎氏
ハーズ実験デザイン研究所 代表取締役 村田智明氏
内容説明
インダストリー4.0やインダストリアル・インターネットに翻弄される必要はない。欧米の戦略の本質を知り、日本のものづくりの進むべき道を描く。
目次
第1章 変容する世界と生産戦略
第2章 希求すべき「経験・モデル・コンピューティング」
第3章 シミュレーション統合生産SIM
第4章 シミュレーションと生産系業務の革新
第5章 SIMが実現するものづくりの革新
第6章 英知の醸成に向けて
第7章 賢者との対話―プロフェッショナルの知とデジタル・エンジニアリングの協創
著者等紹介
中村昌弘[ナカムラマサヒロ]
株式会社レクサー・リサーチ代表取締役。大阪大学大学院工学研究科生産科学専攻博士課程修了、工学博士。鳥取市出身、大阪大学工学部で認知技術、画像処理などの研究を行う。卒業後、小松製作所に入社、生産技術研究所に勤務し、知能化ロボット、空間理解などの技術研究開発、製品化に携わる。1993年にレクサー・リサーチを設立、対話型バーチャルリアリティ技術やヒューマン・インターフェース技術を研究開発。その後、グローバル化の嵐の中で日本のものづくり力の強化につながればと願い、GP4シリーズ、GD.findiシリーズを開発した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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イノベーター
Yoshihiko Fujimoto
akanishi